現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

卯一致・ドクター

私の名は舞。

14歳。天涯孤独の身だ。


薄いブラウス 薄いスカート

寒い・・・


貧乏だから、こんな寒い中をこういう薄い服ででしか守れない。


ヒュゥウゥゥ


目の前の館。

一面、緑の苔(こけ)で覆われ、蔦(つた)がすごい勢いで幾重にも絡んでいる。


「(寒いからすぐに入ろう・・・)」


寒くさえなければ、不気味な館。入るのを誰もが躊躇するだろう。


キィ・・・

あ、開いてる

驚きつつも、ホッとする舞。


??

呼び鈴を探そうにもどこにも無い。

外にも無かったわ・・・


奥の方へと歩いていく


「(全然、寒いよ)」

ブルブル震えながら、舞は早足で奥の方へ奥の方へと進んで行った。


ふわん

暖かい空気が左から流れてきた。




左を見ると 赤い扉がある。

「(ここに人がいるんだわ)」


コンッコンッ!

勇気を出して強めに叩く


「お入り」


慣れた感じですぐに返事が返ってくる。


ゴクッ と唾を軽く飲み、

ガチャッと開ける。




暖かい部屋。

暖炉が奥に見える。


全体的に暖色系の色合いの部屋。


中央の大きなソファー椅子?のようなところに

白いうさぎがいた。



キョロキョロ辺りを見渡す舞。


あの


スタスタ スタスタ

部屋中を軽く歩いてみるが、人の姿がない。


私をお探しかえ

ビクッとする


しかし誰もいない・・・


上を見上げた。天井??


「私だよ」


スッと声の方向を捉え、顔を向ける。


うさぎだ。

「(さっきの・・・)」


お嬢さん、随分薄幸そうだね

「それで?誰を呪い殺したいんだい?」


舞は、うさぎに何か装置でも付いていて、どこか別の部屋から誰かが話をしているのだろう、と思った。

「(監視カメラみたいなものも何処かにあるのね・・・)」


暖かい・・・

部屋の暖かさに少し体が癒される。


「お父さんとお母さんよ」


無理

即答する白うさぎ。


何故!!

思わず怒ったような声を出す舞。


白うさぎ「もう亡くなっているからね」


?!


亡くなっている・・・

亡くなっている・・・


呆然として、下を向いた。


どうしてそう、、なったのか分からないけど、

「(それじゃあ復讐出来ないじゃないの)」


そもそも呪い殺しに来たのだから

「(手間は省けた訳だけど、、)」


白うさぎ「お嬢さん、余程苦労しているようだね」

・・・

同情する人間は、初めは優しいが、所詮初めだけ。

「(分かってるから何も馴れ合いたくないし、話したくない)」


「そうかい」



顔を上げる。


白うさぎ「何も悲観する必要はないさ。ちょっとこっちへおいで」


白うさぎがピョンッと椅子から降りて、暖炉の方にピョンピョン跳ねて行く。




引き寄せられるように白うさぎの行く方に足を進める。


ボオッ

ボボボッ


暖炉の、、薪の火が勢い良く燃えている。


「この中へ入るんだよ」


悲鳴をあげる暇もなく舞は暗闇へと落ちていった。


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気付いたらあの部屋。

ボボゥッ

「・・・あれ」

ガバッと起き上がる。


見ただろう?

後ろからあの声がする。


振り向いた。


白うさぎが言う「ああいうところに行くのさ」



気が遠くなる。


寒いのって恐いって思った。

これ以上の恐怖なんて・・・無いと思ってた。



でも

あの悲鳴を聞いてたら・・・


「じごく・・・に行くのってイタイんですね」


ニコッとうさぎスマイル(何?)を浮かべて白うさぎは言った。


寒い、、と寒さに凍えるのは 生きてる証さ。

現世でいくらでもやり直しが出来る・・・状態のことなのさ。


熱いのは痛いんだよ


寒いより熱い方が恐いのさ


「あんたはまだそこに落ちてないんだから」

「寒いと思える余裕がある立場なんだから」


精一杯生きるんだよ



は・・・


い、を言えないまま、先程の、、


両親の姿を思い浮かべて 立ち眩みそうになる舞だった。



料金はあんたの精神力さ。

そのせいでちょっと疲れちゃってるだけ。


すぐに治るから安心し




な、のところで、


ガバッ


舞は起きた。


・・・


ウイッチ・ドクター(呪術師)の館。


「分かった。行かない」


軽くつぶやいて。


シャッと カーテンを開けた。


薄いけど、、キレイな朝日が広がっていた。


 

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