現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

リンドウ・XYZ

長い付き合いだったわ

ぐずっ
彩織は涙を拭いた。

古いバー。

店主、つまりマスターが亡くなり
想い出を偲ぶために悠悟と彩織はここにやって来たのである。


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結婚前のフレッシュ(大きなお世話)な時期。


カチャッ
フンフン〜ン♪

ガチャッ

彩織はとあるバーでカクテルを作っていた。

彩織『やっぱり。エックス・ワイ・ジーよね』
独り言を言っていると、、

ガッチャーン

マスター『あ、が、ガラス(割っちゃった)。彩織ちゃ、い、今、悠悟君が』

彩織『?』
彩織は振り返った。

あ、あの!

このバーのマスターである。



悠悟と彩織の家(四次元屋敷)の近くにある小さなバー。
マスターとすっかり仲良くなった悠悟と彩織は待ち合わせでこのバーを利用し、
たまにカクテルを作る、ということをしていた。

(どんだけ仲が良いんだ(っていうか有り得ない?



彩織はまたカクテルに向き直り呑気にカクテルを作っていた。

マスターは声を張り上げる。

こら、心配じゃないのか。悠悟君が

と言った瞬間に
悠悟が店に入った。

パッ
彩織が右手を上げた

彩織『時間ピッタリね』


彩織『だぁーって悠語がバス事故でどうにかなる訳ないじゃない』


クピッ

呑気にアースクェークを呑む悠悟。


マスターは思い出した。
悠悟君が海外出張に行って、飛行機事故が、、って時
彩織ちゃんは『フーン』って言いながら「まぁ大丈夫でしょ』って

言ってたな。

悠悟君も
『飛行機事故が起こりそうだったから時間ずらした』って
帰って来てたな

幸い怪我人が出なくて良かったなあのときは・・・
虚空を見つめるマスター。


彩織『そういえばバス事故があったんですって』

『そんな感じがしたから歩きで来たよ』


マスターは思った。
『(彩織ちゃんに以前聞いたけど根拠があるんだよな『何となく』じゃなくて)』


はい

『リンドウ・エックス・ワイ・ジー』

ふたりの前にマスターはカクテルを差し出した。


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リンドウの花が美しく添えられていた、エックス・ワイ・ジー。

※エックス・ワイ・ジー=「これ以上ない最高のカクテル」という意味をアルファベット最後の3文字で表現した究極のカクテル


悠悟君が落ち着いているからね。
『敬老、、の日の花を。最高級の『紫』の花だから敬老なんだよ
ハハハ』

彩織『えーっまだまだ若いのに。年相応の花じゃないなんて。
そりゃ、悠悟は似合うかもしれないけど』




<現在―・・・>

カラン・・・

同時に振り向く悠語と彩織。

彩織「い、今・・・」

グラスの中の氷がカンッと当たる音が聞こえた・・・ような気がした。


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第1話の前に、話は戻る。
水滴、の前)


ねぇちょっと聞いてよ

『竜胆(リンドウ)の月(8月)に丁度あれが向いてるんだって
偶然ね〜』

手に『吉日大辞典』を持ちながら彩織は言った。

『おめでたい日みたいよ』

悠悟『マスターはそれを見越したのかも』


こうしてふたりは竜胆(リンドウ)の月に婚約した。



現在。

たまに、ふたりは今でも


悠悟「ハイ」

彩織「有難う」


あのカクテルを呑む。

悠悟が出したバー空間の中で、、

そして
カララン..

あの音が聞こえる事がある、のであった。

カララン.. カララン..


 

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