現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

溟渤(みんお)

溟渤(みんお)様!

満面の笑みで、いつも溟渤の元に駆け寄っていたコウ。


溟渤は不思議であった。

「(何故自分を視ることが出来るのだろうか)」

普通は、海の神など人間には視えない。

しかしコウは溟渤が視えた。


溟渤は 不思議でしょうがなかった。

やけに自分を好いてくれる。


その頃はだい〜ぶ昔で、コウの家は小さな塩販売会社だった。


沖縄の「雪塩」や「粟国の塩」などを主に販売。

従業員が少ないので家の手伝いに明け暮れ、溟渤の元に行けない日もあった。


ふわ・・・


柔らかい風の後。

鋭い風が吹き、海が荒れた。


いつも静かな海ではなく、
嵐にもなるし、津波も起こる。

「溟渤様・・・」

海に異変があるとコウは落ち着かなくなった。


ポン

ポン


無表情で潮盈珠(シオミツタマ)で海を荒らす溟渤。


潮盈珠(シオミツタマ)=海水を溢れさせる

潮乾珠(シオヒルタマ)=海水を退かせる



連日の嵐で溟渤に会えなくてコウは寂しかった。



我慢できなび・・・涙

ダダダダダダダッ

こけてもこけても、砂だらけ(しかも濡れている)になっても

溟渤の元へと急ぐ。


勿論、溟渤はいつものポジション、、いつも座っている場所、にいなかった。


コウは岩の上にずぶ濡れのまま寝っ転がり、

ぼへ〜っとした。


・・・



溟渤は横に座っていた。

ポイン

ポーン


潮乾珠(シオヒルタマ)を使ってスーーッと潮を退かせる溟渤。


「・・・あ・・・」海を見て驚く。




溟渤様。

「何がお好きですか?海の生き物で」


溟渤「くらげ」



どうせ無駄だと思っていても、溟渤がさっぱり嫌がらないので、コウは良く愚痴った。


コウ「溟渤様、わたくしはみんなの道化(どうけ)です・・・」

溟渤「頭が良くないと道化にはなれない」


・・・

知っていた。

溟渤には想う人がいて。

子供もいる、ということを。

人間の男の子と、人外の女の子。

・・・


寿命が来た。

とうとう溟渤が消滅する時、、コウは泣いた。

「えっとえっとえっとえっと、、」

凄い泣き顔で、きっと他の人間が見たら全員恐怖するだろう。


「あの・・・わたくしを捨てるのですか。どこへ行くのですか。冥界ですか」

いつか会える!

呑気なことを言う溟渤。

コウ「私はあなたが好きなんです。
生きていてください・・・」

溟渤「知っていました」


「私を愛してくれた君に、私の持つ全ての力を差し上げましょう」


コウは名賢の珠をもらった。


キラキラ光る美しい珠。

名、賢。

「名君」「賢臣」から来ていて、
聖なる清らかな主従関係を表している。

これにより従、の側は主、の側から力をもらう代わりに、、誰にも仕えてはならないという縛りが出来る。

そして珠が胸の奥に沈み込み、、従は聖なるもの、癒しのもの、防御関係の「術」が使えるようになる。


それは 人外、になるということである。


びんぼざば・・・

「やだぁぁ。やだぁ・・・」


溟渤「そうだ
暴奸の珠、でも良かったんだけど」

呑気すぎる。


うえぇぇえぇ(コウ)


溟渤「聞いて。
珠はふたつあって。
ひとつは名賢、もうひとつが暴奸。

あげたいんだけどふたつとも」


しばらくして静かに美しく、、


コウ「空気の中に溶け込んじゃった・・・」


彼はとても綺麗に雲隠れた。


・・・

『暴奸の珠の方は危険というか
でも両方とも持てないから
そっちにしました』


暴奸の珠。

「暴君」「奸臣」から来ていて、
混沌で邪気の力で覆われた主従関係を表している。

主、従の関係は同じ。

従は闇なるもの破壊のもの攻撃関係のものの「術」が使えるようになる。


名賢も暴奸も、両方とも海の神が持つ素晴らしい珠で、
慈愛と沈着で出来ている。




・・・

海のような涙の後、

コウは人外になった。


---------------------------------------------------


何年か経ち、


ついに現れた、溟渤の生まれ変わりのような青年。

(※外見だけ。外見だけ。がいk)


灯りがうっすらともる洞窟内。

コウに掛けられた虹色に光る透明な水に、濡れて倒れている朧浪(ろんらん)。


「あっ!」


朧浪の顔に変化が表れていた。


術・『半・不老不死』が成功、、したのである。


 

BACK「洞窟」  NEXT「横顔」