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洞窟

築景大飯店にて略式の婚儀を上げ、

人の妻となったコウ。


ざざ〜ん・・・

ピシャッ

元の島に戻り、浜辺の椅子に座るふたり。

溟渤(みんお)そっくりの顔に顔を赤らめて、髪で顔を隠すコウ。

ずっと黙っていた朧浪(ろんらん)が口を開いた。


朧浪「爸(ティエ)は革新的な人で」

・・・

普通老人は古い物を尊び、それを守ろうとする。

義渠(ぎきょ)は古いものは古いものでとても大切にするが、
新しいものもどんどん取り入れる人間だった。

初めは古い人間たちから猛反発に遭っていたが、物凄い威圧感で黙らせた、、のだと言う。


普通は「史家」の血や史家主要血族の血で固めなければいけない。

義渠はいとも簡単に違う人種を「養子」として取り入れていった。


あの人は、本当に恐ろしい人だ。
朧浪「怪物の部分と聖人の部分とふたつ持っている・・・」


痛いぐらいの偏頭痛。

コウ「(爸は溟渤様に何か関わりが、、ある気がする)」


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術のための一覧表を見せるコウ。

キレイな字で書いても何の変わりも無いのに、
何度も「キレイな字」で書き直した表だ。

「まず」

いくつかの神聖な塩が要ります。


「塩は昔から邪気を祓う神聖なものとして扱われてきました。
例えば、霊を追い払う時など塩を使います」


史家のネットワークは素晴らしく、程なくして塩は全部集まった。


「何故そのようなものを御所望なのですか?」という問いには

朧浪「ステーキにかけようと思ってね」とイケメン風に答えてやりすごした。


その他のものは手分けして集め、夕暮れ時には全てが集まった。


コウは疲れきって一時仮眠。

朧浪は材料を見て、「何かの水・・・水溶液を作ろうとしているのだろうか」と思った。


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ふぅ


「夜になったら、、あの海の遠くの島(指をさしている)に行きます。洞窟がありまして・・・」


「今日は満月。合わせたんです」

初秋だからか少し寒い風が吹く。

チューッと朧浪が呑気にココナッツミルクジュースを飲む。


少し、、海を見て切なそうにするコウだ。


ぐすっ

涙を拭いている。


両手で顔を覆い、ううっ、、と嗚咽を漏らした。


朧浪「ど、どうした」


「・・・」


ふざけている朧浪も分かった。


朧浪「何か変なこと考えてるんだな・・・(呆)」


・・・え?

涙顔で朧浪の方を向くコウ。


朧浪「駄目だよそんなこと考えちゃ・・・」ふぅぅうぅ


え、・・・え?

溟渤(みんお)様のことを考えるのが変なのかな・・・


や〜れやれ、と欧米人のようなポーズをとって肩をすくめる朧浪


「(え、と、、)」


フーーーーッ

心底呆れたようなため息をつき、


もう駄目だこりゃ、みたいな感じで腰に両手を当て、

「駄目だよ・・・」と言った。


え、ちょ、待って。

「(溟渤様のことを考えるな、、ってそういうこと、、かな?・・・でも『変なこと』って)」

あ、あの

「溟渤様のこと考えてたのですが、そ、そのことですよね?汗」


どうだかね〜〜

ふぅ

朧浪「良く考えよう」


どう考えても美しい横顔。

・・・

「(み、溟渤様そっくり・・・。素敵・・・。でも、、何なの?汗)」


泣きそうになるコウ。


おとなしく泣かせて欲しいのに。


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小さな小さな洞窟。

さすがに怖いと思った朧浪。


知らない言語で道具たちを揃えながら儀式のようなことをするコウ。

「喝っ!!」


キラキラ光った透明の、、虹色ともつかない液体をいきなりかけられた。


「あ・・・?」


朧浪は尻もちをついた。


じーっと怖い顔をしながら朧浪を睨むコウ。


『汝に問う。汝が望むのは生か死か?答えよ!』

エコーがかった声が、、コウから聴こえた。


・・・


静かにひざまずき、

朧浪「何事も。自然の仰せのままに。わたくしは生きたい』

矛盾した答えをした。


「(これが俺の本心か?)」


ざざーん


ざざーん


ざざーん


さざなみの音が、、聞こえる。

怖いような、、吸い込まれるような・・・


くらっ


そのまま

朧浪「う・・・」


朧浪は深い眠りに落ちていった。



地に大きな穴があって、、

そこにすぅーっとふわーっと心地良く落ちていくような感覚。


何処まで行くんだろう

頭のどこかでかすかにそう思っていた。。


白いベールを被り、しばらく朧浪を見つめていたコウ。

・・・

朧浪さん

溟渤様、とは呼ばなかった。


 

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