現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

前夜

築景大飯店。

台湾でも有数の超高級料理店である。


何でこんなことに。

・・・。


コウ「(運命の河はこんな風に流れていくのね。どういう風に今後流れていくんだろう・・・)」



かつての好きな人に瓜二つだという理由で、助けようとした男性が少し変わった人間で、(というより(略))

結婚しないと不老不死の術、、つまり生き長らえる術を「受けてやらない」と大変ズレたことを言った。


好きな人の面影を宿すその男、史 朧浪(しー ろんらん)。
どうしても助けたい一心。

コウ「(それで何故こうなるんだろう・・・汗)」


コウ。

本名、洋香(ようこ)。

元、人間であり。日本人である。


彼女は 海の神「溟渤(みんお)」を愛し、彼が雲隠れる際に、

「私を愛してくれた君に、私の全ての力を託そう」

と、力を授かり、海の生き物として そして人外の生き物として「生まれ変わった」

・・・そんな存在、であった。


少しさかのぼる。


台湾近くの海。

コウは気に入った島を見つけた。

そこに居るうちに心が和むようになっていった。

遠くの別荘から見える、、毎日海を観る人物。
その人物に、自分が重なるような気がして、、何となく興味を持った。


遠くからなので良く見えないが、、

「(全てを捨てているような・・・悲しそう、、いや。空虚な感じ。
私と一緒だわ)」

と思った。


溟渤を亡くし、どれほど悲しんだか。

彼女は彼の空虚さが、、海を伝わって悲しい音楽のように響いているような気がして心が痛んだ。

「力になりたい・・・」とぼんやり思うようになった。


夏の日の、、午後12時。

風はだいぶ吹いていて、心地良い日、時間だった。


岩陰で休み、涼んでいた。


ズルリッ!!

突然引き出された体。驚いて振り返ると、、、


!!


「愛人(アイレン)!」


溟渤に瓜二つの青年。

愛人愛人あいれ〜〜〜ん!


そのまま実に(略)なことをしてしまった。

(一話参照・・・)


あの、海を観ていた青年。

その青年、、だった。


近くから見たことがなかったので溟渤に似ているとか全然知らなかったのだ。


青年は、

中国の組織のひとつ、史家のひとり息子、朧浪(ろんらん)という人物だった。

彼は持って半年という命で、療養のためにここ台湾近くの島の別荘に来ていた。
(住んでいた)



冒頭に戻る。


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一日前・・・。


朧浪「爸(ティエ)、ご心配をお掛けして申し訳ありません。

私ももう、残り少ない命。こうして最後に妻を娶り、身を固めることが出来ました。
最後の親孝行のつもりで御座います」


史家総帥・義渠(ぎきょ)「おおおお、朧浪。(涙ぐんでいる)お前はいつ見ても素晴らしい。我が息子ながら、何て神々しさだろうか。鳳華(ふぉんふぁ)にそっくりだ」

ピクッ

少し表情が固くなる、、朧浪。


コウ「(お母様、、っぽいな。亡くなったのかな?)」


義渠「おまえが大好きでね、いつもおまえの人形をたくさん手作りで作って、、」

朧浪「爸、恐れながら。ここはお目出度い場で御座います。どうか耳障りなお話はご遠慮下さい」


し〜〜〜〜〜ん


義渠「・・・これは」

朧浪「わたくしには時間というものが1秒でも惜しいのです。爸、分かって頂けますでしょうか。
わたくしの妻のことが先で御座います」


爸(ティエ)=中国語で「お父さん」。


時間が惜しいのは本当である。

持って半年。最悪1ヶ月、、という命。

無理をすれば、、ということで略式の婚儀をする程なのだ。


「(・・・格好いい。威厳とか威圧感とか。ああいう(過去参照)面があるのに、、汗)」



別荘に戻り、せっせと様々な準備をするコウ。

術のための道具やら材料なのだが、それでバタバタと動き回っていた。

そのうちのひとつを部屋でせっせと作っていると、、


朧浪が部屋に入ってきた。

「あっ」振り返る。

キリーッとした顔。


溟渤様、、、

思わず目がハートになって見とれてしまうコウである。


朧浪「何を、、作っているのか知らないけど多分あれか。

半・不老不死の」

コウ「あ、はい!」


背を向けてしまう朧浪だ。

「俺は別に長生きしたくない。頼んだ覚えも無い・・・

残りの時間を楽しく、花開くように過ごせたら、、もうそれで満足だ」


コウ「え?そんなっ だって 約束は?」

思わず立ち上がる。


半・不老不死を授けてあなたを助けたいの → 結婚しないと駄目 → 結婚した ← 今ココ


朧浪「そんなもの、俺は知らない」

虎のような目。


・・・・・・


コウ「酷い・・・。どうして?約束だったのに・・・」

ガクーッと肩を落とすコウ。


好き勝手したかっただけですか?
最後だから・・・

私は真剣だったのに。

「遊びだったの?」


違う。

朧浪「俺はどーしても君っていうか君だと思うんだけど、君だったかな。多分君。
君と、、一緒になりたかった」


・・・?


ど、どういうこと。

結婚詐欺?(違う(多分


結婚したかったのかな。誰かと。

『人生最後に、、想い出として誰かと一緒になりたかった』

とか

『最後に、、誰かと、短い期間ではあるけど一緒になりたかった』

とか・・・。

『俺はどーしても君っていうか君だと思うんだけど、君だったかな。多分君。
君と、、一緒になりたかった』


格好良く・・・言って欲しかった・・・汗


そもそも、生きることが前提なんですよ。
一緒になっても長く生きられなかったら意味ないのに。


どうしてそう、命を投げ出すの朧浪さん

「(何があったの)」


『爸、どうか耳障りなお話はご遠慮下さい』


あんなに格好良かったのに。


それにしても素敵だった・・・(両手を頬に当ててポ〜ッとなってしまうコウ)
アホが移った



ぐるんっ!

変な向き直り方をする朧浪。

「でもま、いっかー」

コウ「(えっ?)」


「ま、いいよ。半・不老不死でもやってみますかね」

伸びをしながら気持ち良さそうに言う朧浪。


・・・

ズッコケそうになるのを耐え、

コウ「そ、そうです!楽しくいきましょう?朧浪さん」

ニコッと笑ってみるコウ。


これから、、

コウ「(何か退屈しない日々が始まるのね。楽しいかもしれない・・・)」
前向きに考えるコウ。


朧浪「明日、台北の『築景大飯店』というところで略式の婚儀を執り行うから。

じゃ、またね〜」


そして普通に格好良く去って行った。


 

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