現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

朧浪さん・・・
・・・


先程の言葉。

『正直、楽しいこともたくさんあったし、世の中には飢えた人々も山ほどいる。
俺は贅沢な暮らしが出来て満足だ。
もうこれ以上、望むことはない。
何も・・・』


・・・


後ろ姿を見送りながら、、

「これも運命なのかな・・・」

蚊の鳴くような声でつぶやき、、コウは去って行った。



リーン リーン リーン


まだ夏なのにな。晩夏だけど。・・・初秋になったのかな。

座りながらぼーっと、とある小さな洞窟から海の方を見るコウ。

「(海の中に入ってもいいんだけど、、)」

チラッ


大きな、史家の別荘。


あの中に朧浪がいる。


「(中身は違うけど、外側は溟渤(みんお)様そのものなのよね)」

溟渤とは海の神で、雲隠れる前にコウに様々な術を授けた存在だ。

コウにとって永遠の男性である。



ふぅ。


大きな樹でも探してそこの上から風を楽しんで、、それで海に潜るか、、

洞窟に入ってもいいかも。


そう思った後、彼女は・・・


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中国組織の人間たちに囲まれるコウ。
そして現在―・・・


呑気にココナッツミルクジュースを飲んでいる朧浪。


彼とふたりきり。
コウは何故か落ち着いていた。


朧浪に聞くコウ。(もの凄く疲れている。話すのも億劫)

「命をどう思っているのですか。私にはあなたの考えが分からない」


朧浪「じゃもう帰っていいよ」


周りの立派な調度品を見て、何て場違いな人なんだろうと感じるコウ。
あの格好良かった面影はどこへやら。
すっかり簡単な姿かたちになっている朧浪。

・・・

半・不老不死になるために、コウと一緒になりたいという約束をしたが、
最後には口論の末、全てをポイ捨てした彼。


屋敷では、ビバルディの「春」が流れている。

たまに妖艶になる朧浪と、たまに変になる(姿かたちが)朧浪と・・・

「(万華鏡みたいだわ・・・ そんなにキレイじゃないか)」
何を言っていいのか分からないコウ。


諦めたいのだが、溟渤そっくりな彼の姿を見ていて、
ずっともじもじと優柔不断に迷う彼女だ。


赤烏龍茶、というペットボトルが横に並んでいる。
・・・

しかし、「KURO」と書かれていて
「AKA」じゃないのか?
と関係ないことにずーっと意識が取られる彼女。


万華鏡のような空間。
「(参ったよ)」
何をしても無駄だ、と黙る彼女。





(略)


でも、生きて欲しい。
生きて欲しい。

・・・


絶対・・・生きて欲しい。



コウは海に潜りたかったが、頑張って説得しようと決めた。


 

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