現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

想い出

引き続き、クルージング。


コウ「だまされたなんて。千両役者ってこういう人ことを言うんですね。
ココナッツミルクも・・・(息切れ)」

朧浪(ろんらん)「何と言うか、(略)だったし、ひょっとしてあの人かな、と思ったんだ」


再会時の時のことを言う朧浪。


初めてコウの体を見て思ったことを素直すぎるほど言った。


かつてない鉄拳をくらい、
そのまま鼻血を出して尻もちをついて、、それでも格好付けながら朧浪は言った。


それで?

「君はどこ出身なの?だまされたがり屋さん」

コウ「(たがり、って・・・)」


東京都。


あ・・・とした顔の後に。

そっか。と小さくつぶやく朧浪。


「そうじゃ、ないかと思ってたよ」

・・・

・・・

妈(マー)がそうだった・・・。

妈(マー)=中国語で「お母さん」。


・・・

えっ

「東京。お母様は日本人?」

朧浪「日本で生まれただけ。中国人だ」


黙り込む朧浪。



義渠(ぎきょ)『おまえが大好きでね、いつもおまえの人形をたくさん手作りで作って、、』

あの日、お父様は・・・


「東京都民の人が、嫌いなんですか?」

こんな話をすれば「ハァ?」とか言われて中和されるに違いない!と思った。


朧浪は頭を左右に振って、両手を腰に当てた。


「何もかもが駄目。くしゃみしてもバキューンて撃ちたくなるな。咳してもムカつく。
挙句の果てに○が○○いときた。
自分本位でしか動かないくせに他人の行動には敏感で、何と言うか、『恥を知れ』って言いたくなるな」


コウ「・・・も、もう一回。
えーっと。
『自分本位でしか動かないのに他人の行動には敏感・・・』
それは、、どうだろう」


でも!

「○○○いとかは決め付けるのは良くない!東京都民の女性に失礼ですよ!」(こだわりはココ)



妈は○が○○いからって哺乳瓶で俺を育てた。

朧浪は心から憎いというように、、搾り出すような声で言った。


それはひどい。


どんなに○が○○くても、無理矢理授乳すれば絶対に母乳は出るのだ。
(本当です)



・・・


お母様のこと、大好きだったのね
妈か。

もしかしてそれでお母様を、、妈を恨んでるの?
いくらなんでも


無言の朧浪。


溟渤(みんお)もそうだった。

「たったこれだけのことで?」
という事をとても恨むところがあった。


プッと笑ってしまうコウ。

・・・

コウ「東京都民は関係なかったんですね。
全部妈で」


たったひとつのことでここまで許せない、なんて。
それだけ好きだったのかな

ぼんやり思う。


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1、抱っこして欲しいオーラ出しているのに気付いてくれなかった
2、誕生日を一度忘れられた。
3、妈がインフルエンザにかかった時、看病したのに気付いてくれなかった。



コウ「(駄々っ子じゃないんだから・・・汗)」


頭の中に流れ込んできた事象。

妈は若年性アルツハイマー型認知症に罹患し、何かの事故で脳に障碍を負ってしまった。

今は毎日大好きな朧浪の人形を作ったり、匂いを嗅いだりしているようだ。


コウ「(多分、そうよね。これは)」

それとも生まれつきなのか、、後天的なものか。そもそもアルツハイマーではないかも。


ハッ


『そうじゃ、ないかと思ってたよ』


さっきの言葉は?

あ、あの

似てるんですか?お母様に。
さっき「そうじゃないかと思ってた」って。


朧浪「似てるというか

雰囲気というか。

・・・
何となく」



寒い風が吹く。

もう初秋に近付いている、という証拠なのだろう。


「(あっという間に日も暮れて・・・)」


朧浪「出立はいつだ」

事務的な声。


朧浪の方を向くコウ。



俺たちは、時空を超える旅に出るんだろう。

早く、、と言ったら急かすことになるが・・・

いつになるのかなと思った。



準備は一日で済ますとして。


コウ「あさってから行きましょう!」

笑って楽しく言った。


分かった。

明後日だな。

朧浪はそっと、、本当にそっと、、空を見上げた。


 

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