現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

さるせかい

只野安曇(ただのあづみ)。

人間が猿人や原人、猿やネアンデルタール人に見える という特殊能力を持つ。

ただのごく普通の、、と言いたいところだが、彼は普通ではない。

とても存在感が薄い男子高生、、である。

ごく普通の男子高生、だと形容するにはあまりにもそれは特殊なもののため、あえてそう表現する。


「安曇、でいい」

ひょんなことから、、同じクラスの同級生、洋子と一緒に屋上で話すことになった。

彼の特殊能力を人に話す、、のは初めてだった。


椛山洋子(かばやまようこ)。

同じクラスの、、只野安曇と同じクラスの同級生で、ついこの間隣の席になった、という人物である。

彼の目から見た彼女は「真人間」だった。


ごく少数だが、「普通の人間」に見える人間が存在する。彼の中で。

それを彼は「真人間」と形容している。


あ、安曇君かぁ

「安曇君だって。みんなにか、かかかからかわれちゃうねぇぇぇ」

さっきからテンパリっぱなしの洋子だ。


あっ

洋子が小さく声を上げる。

「岡崎桃子さん(学年一の美少女)はどどどどどんな風に、みみ見えるのぉぉお?」

・・・

「恋愛感情でもなさそうだな(←特殊能力?で分かるらしい)。どうした、さっきから」
不思議な気持ちになる安曇。


「い、いや、尊敬してるの。存在感がないってさ。自分をアピールしないってことでしょ。
誰だって目立ちたいっていうか。。。じ、自己愛があるっていうか。

な、『無い』、、っていうのはこう、な、なんか凄いなって・・・」

そ、それに

「(大事なものを、、奪っちゃったような・・・ 何だろうこの感覚)」


無視する安曇。


「岡崎桃子さんは原人類だな。猿の種類ではない分マシな方かな。北京原人の一歩前、、何と呼んだかな」

えっ

洋子「じゃ、ジャワ原人よ」


「ジャワ原人、だな」


ぽかーん

・・・・・・


私の他に『真人間』は、この学校にいるのかな、、と聞く洋子。


「数人は」と答える安曇。


人間としての程度が低いと、猿とか猿人とかに見えて、、

「程度が高くなると、、原人、旧人、、」

「うん」


彼の目から映るこの世界は、、どんな風なんだろう。

たくさんの猿とか猿人とか原人がひしめいていて、たまに真人間に会う。


「この人キレイだな、とかカワイイな。とかカッコイイなとか
そういう感覚が、、感覚を あまり味わえないってことよね」


少なくとも

「君は・・・。じゃなかったらこうして誘ったりなんてしないよ」

しかし安曇はあくまで落ち着いている。


「(普通コップがあって、そこに水とかジュースとか入ってるのに

この人はコップしかない)」

洋子は思う。


君に

安曇は遠くを見つめながら言う。

「何かをあげた、、ような記憶がある」

・・・

安曇「同時に、何かをもらったような記憶もある・・・」


私も・・・

気付いたら声が出ていた洋子だ。


「お、お互いなんか交換・・・。『位』とかかな?私の方が格下で、、
安曇、、君が上の位、、みたいな」

・・・


「どうかな」

やはりカラッとした声の安曇だった。


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今日は散々だったな、、すごく嫌な気分で寝床に入る洋子。


『先生こっちです!奴ら、いました!!』

『なんだとー!!』


授業をサボった、、ということをクラス中の生徒が「信じられない」と騒ぎ、

その授業の先生を引っ張り、「椛山さんと只野君がここのどこかで不良行為を(おいおい)」と焚き付け、

先生も先生で「椛山君が?(安曇は無視ですか)」と驚き、授業を放り出して

みんなでふたりを探したのだった。


マンガとかドラマだったら授業サボったらサボったで特に誰も心配せずに、、
誰も干渉とかせずに、そのまま時が過ぎゆくのに・・・。


付き合ってる男女がどこかに消えたとして、、
それだったらもっと「そっとしておこう」って誰も干渉しないのに。


洋子はそんなことを考えながらハァ〜ッとため息をついていた。


『真人間だ』


・・・真人間、、クロマニョン人だから、、原人とか猿人にとっては目立つのかな?

本能的に見ちゃうとか注目しちゃうとか・・・


『真人間だ』

席替えで隣になった時の、安曇の驚いた声。


「(席替えで初めて気付くくらいだから、私のこと見てなかった・・・
ということは彼も同じ『真人間』なんじゃ?)」

同じレベルの人間は何となく同じ人間に気付きにくい気がする。


・・・

『あ、安曇君だって、、みんなにからかわれちゃうねぇ、、』と照れていた自分。


「(私がそう思うってことは、あの人はひょっとして『真人間』以上なんじゃ)」


安曇がとても不思議がっていた、洋子のすごいテンパリっぷり。

同レベルならあんなに緊張はしない気がする。
きっと格が上だからあんなに恐縮してしまったのではないか・・・と思う洋子。


・・・

また、、明日お昼に屋上でお弁当食べたいな・・・
でもクラスのみんなにマークされて、、『屋上にいたぞー!またあのふたりだー!』って

レベル1:スクープされる
レベル2:「風紀の乱れになる」とつまみ出される
レベル3:「結婚でもするのか?」とふたりを囲んでみんなが取材しだす
レベル4:校長あたりに直訴されふたり共々1週間ぐらい謹慎処分にされる


みたいなことになるんだろうな。(いつものことである)(洋子にとっては)


「(屋上でまず落ち合ってから、それからどこかに移動すればいいや)」


どうせ屋上に行くのをキャッチされ、尾行される(しかも大人数)であろう。

・・・ことを、すっかり忘れている洋子であった。


 

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