現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

ぼうがん

頭が痛い。

重い。
早く消えてくれ。何故消えないんだ
そのうち消えてくれるだろうか

う、、胸が痛む。
何だこれは。

分からない。
消えて欲しい。

何が?

洋子だ!
あいつを消して欲しい!

気持ち悪い

厭だ。

洋子

洋子


崖から洋子を突き落とす映像

何度も何度も描いている。

ぐしゃっ! と洋子の頭から血しぶきが飛ぶ。

はぁ・・・

開放された・・・


もう厭だ

あの存在なんて知りたくなかった。

もう安穏とした日々は過ごせないだろう

あいつを何処かに

嗚呼 霧のように霧散させることが、、
いや、俺の記憶の中から、、霧が霧散するように消えれば、、

消えてくれたら・・・



感情を取り戻した・・・

黒い霧のように思えるような、
彼の中の「消えない」感情。


只野安曇(ただのあづみ)は(略)。


説明が本当に面倒臭いのだが、最初がすごい分・・・

只野安曇、17歳。高校2年生。

極端に存在感のない存在で、

そして人間が「猿」「猿人」「原人」「旧人」に見えてしまう不思議な能力を持っている。

(恋愛感情や怒りの感情、悲しみの感情など、感情がある程度「視える」能力も持っている)


ひょんなことから、

席が隣になった、


地味な外見に似合わず極端に注目を浴びる「椛山洋子(かばやまようこ)」という女子生徒と知り合いになった。


ふたりは生まれる前から一緒にいて、優等種の1位と2位の存在で、1位の洋子が 2位の安曇に面倒臭い能力を全部渡してしまった、、ということが分かる。


その時のことを安曇は「お、おもたい、、」と形容している。(過去参照

(能力をまるごと渡された)


その代わりたくさんのものを洋子が安曇から奪い、安曇は「存在感」だとか「感情」「欲」と言ったものがなくなってしまった・・・


などの謎が解けてゆく。


だとすれば、「感情」「欲」をふたり分持っている洋子は 感情豊かで強欲な人間になるはずだが、

1位の優等種だからだろうか。

もともと少ないように最適化されていて、

ふたり分持つことで人並みになったと思われる。


が、「存在感」だけは半端なくなってしまった・・・

ことは説明が難しい。

元々良い意味で存在感を持つはずだったのが、過剰になったことで悪い意味ともとれる存在感に変わってしまったと言えるだろう。



感情を次々と思い出していく安曇。

恐怖、だとか 嬉しさ だとか


「生まれる前の洋子のまぶしさ」を感じた時に、懐かしさという感情があふれ、涙を流した。


空のコップだった安曇に清水が注ぎ込まれている、、状態になっている。


のだが、感情が無かった分、(洋子が盗っちゃっていた分)

感情があるという状態に慣れず 自身の気持ちだとか感情、本能、欲望(ひえ〜)にすっかり精神をやられていた。


最優等種ではないが、一応科挙で言うところの榜眼(ぼうがん)だ。

(科挙=昔の中国の役人登用試験。凄まじく難しいことで有名。榜眼=次席合格者)


こんなことで負けるような劣等種ではない。


何故こんなことになってしまったかというと(略)。


過去参照なのだが、
感情が蘇ったことで自身を持て余し、母親にさえ全く甘えられずに(甘える感情自体抜き取られていた・・・)過ごしていた分の、

様々な依存したい気持ちを洋子にぶつけるために、自分の家に洋子を住まわせた安曇。

安曇は裕福なので住まわせるだけの余裕があった。


元々の元凶が、自分の蒔いた種を刈り取るのは当たり前なので、

洋子は安曇を一生懸命フォローした。



幸せで安穏とした日々がくるはずだったのに、喧嘩してしまったのである。

(厳密に言うと喧嘩ではないのだが・・・)


『あなたが好きなだけよ!』


受動的に愛を受け取りたい、という乳児期特有の欲求を満たされ、嬉しさを感じたのだが・・・。

今度は次の段階の、

能動的に愛を与えたい、という段階になった。

冒頭に戻る。


「愛されたい」「好かれたい」

という受動的なものならまだ大丈夫だったのだ。

自ら 物だとか者だとかを愛することに違和感を覚え、どうしていいか分からず、


男性特有の、恋愛における破壊衝動(というのが本当にあるらしい)が巻き起こった。


前回までは大丈夫だったのに・・・

日を経つごとにどんどん亀裂が入り、、、

安曇はとうとう感情が爆発してしまった。

憎しみやら羨みやら憎悪やら・・・

そういうマイナスなものが「愛情」から一気に転換され

(略)

(大変そうですね)

勿論、誰かに迷惑を掛けた訳ではなく彼自身のみでのことなので
それが不幸中の幸いだったのだが・・・


洋子には普通に接している。

日毎に酷くなる思いだったが・・・。


・・・

洋子『っていうかあれじゃない!・・・ちょ、ちょっと待って!
私たち高校生でしょ?風紀的に、、いけなくない?』


あの日の洋子の言葉。

「そうだな」

軽く目をつぶり、彼はやっと落ち着きを取り戻した。


さすが榜眼(ぼうがん)!


 

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