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対称

小さな世界 > 第7章「交錯」
 



妃羽は元気になった記念にと、ミュージカルに行った。
ユウについての考察を書いてすぐである。

『アンナ・パブロワ』

男性が女性のチュチュを着て、繊細な踊りをした後、
チュチュやトゥ・シューズを脱ぎ、男性的な踊りをする、、
という演技が見られる。


妃羽「(礼法が特に好きだったんだよなー)」
上海での思い出を思い出す妃羽。

あちこちから甘いお菓子やらポップコーンの匂いが充満している。
そしてエネルギーのある雰囲気に、元気の無かった妃羽はホッと安心した。


力強い男性の踊りを見て、あまりの凛々しさにぽーっとなってしまった妃羽。

と同時に、「何処かで見たことある」という視界がぼやけるような錯覚に陥る妃羽。
力強く、ブレない芯。

と同時に、その前の「女性的な踊り」を思い返す彼女。


彼女は思わず立ち上がりそうになった。
「(知ってる)」

何か、懐かしい。


女性は「女の子」という感じがした。
男性の方は「力強い」という感じがした。

踊っている人間は同一人物で、
それがやけに自然な感じがして、食い入るように観てしまう妃羽だ。

・・・

ガヤガヤガヤ

ワイワイ

ショッピング街を歩きながら、妃羽は先程のミュージカルを何度も思い返した。
「(女の子、と男性かぁ・・・)」

そういえば、王冠と妃冠売ってるかなぁ
でもあったが妃羽は王冠セットが大好き)

色んな小物のお店をめぐる妃羽。

カララン.....


優しい感じの小物ショップ。
結構良く行っているところである。

妃羽の後ろから女性が声を掛けた。

女性「フェイ。可愛いね。いらっしゃい」

振り向くと、癒しの女性店長「ナターシャ」がいた。
妃羽はこの店長ととても仲が良い。

ナターシャ「うーん、王冠セットねぇ 急になくなっちゃってねぇ」

王冠セットは横15cmくらいの小さなもので、
カバーがついたとても可愛いものである。


「・・・王冠と妃冠、フェイのようだね」

凛々しい王様、可愛らしい王女様。

突如、涙をぬぐう女性。
・・・
「なんだろね、急に涙が」

妃羽「・・・?」


その後、何処へ行っても「王冠セット」は見つからなかった。


妃羽「(確かここ、ボストンに来たばかりの時に見掛けて・・・
すぐに買わずに後で買おうと思った。
たくさん種類があったから)」

しかし数日後に来た時には何処の店からも消えてしまっていたのである。

妃羽「(ブランド名調べておけば良かった・・・)」
しょんぼりする彼女である。


薄暗い通り。

少し疲れてしまい、運転手を携帯電話で呼ぶ妃羽。
いつもは徒歩で頑張って屋敷まで歩くのだが。


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ハッ
私室に入り、女の子座りをして今までの楽譜たちを下に並べ、
『空中』への構想を練っていた妃羽。


妃羽「(小さな女の子、凛々しい男性。ミュージカルも王冠セットも・・・そんな・・・
?何かの繋がりでもあるのかしら)」

でも別に不吉な組み合わせでもないし。
うーむと思う妃羽。


ジャーッ
夜半。
お風呂上りにさらに顔を洗う妃羽。


俐人は例の如く帰りが遅い。


妃羽がすっかり寝てしまった頃に俐人が帰ってきた。

特にうなされることもなく、すやすや寝ている姿に安堵感を覚える彼。

・・・

寝室は完全な無音。

スー、スーと寝息が立っている。



俐人は起こされた。
右肩をブンブンッと揺らされたのだ。

「?ふぇいゆー?」
いつもはすぐに起きられる彼なのだが、
相当疲れているせいか、、
寝ぼけまなこで、発音するのがやっとだった。


ハッと気付くと、
妃羽が右腕にそっとしがみ付いている。

・・・

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