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粒子として

小さな世界 > 第7章「交錯」
 



怪物ライナスと、凛々しい騎士リリ。


ライナス「ふ、ふ、ふ
嬢ちゃん、おまえをぶっ殺してやる!」

ライナスはこれ以上ないくらい、無防備な怒りを見せた・・・
怪物を彷彿とさせるような・・・

・・・
誰も今のD層でくらったことのない、巨大魔法『ディスティングアロー』。
普通なら戦闘不能、だろう。
ライナスだから受け止められたと言える。


理々が剣を構えようとした時にライナスが言った。
「勝ってねぇよ。つぅか!
勝った言うな!」

・・・

ニヤリッ
笑う理々。

タッタッタッタッと一直線に走り、

「ディスインテグラートワー!!」
とスキルを行使した。

ライナス「ぐわっ・・・」

遠くに投げ飛ばされるライナス。


「(直線で来られるとは・・・。違った動きしか、、慣れてねぇから・・・
ち、くしょう・・・
あ、ん、な・・・)」

違う動きを何10種類も考えて、「これだけはない」という部分から攻め込まれ、
こうなったということだ。

そしてそういうものさえ、直前で防げるほどの実力の持ち主だが、
怒りで我を忘れ『隙だらけの状態になる』ということに全く慣れてなかったがゆえ、
全ての判断力がいちじるしく鈍っていた、のである。



『Congratulations!You Win Last Boss!
(おめでとう!ラスボス撃破です!)』


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花畑。後ろに林がある。

・・・

ナイトライド「でも格好良かったよねぇ?」
ライナス「俺が?まぁな」

ナイトライド「いや、理々さんが」

理々「胸見られたのがちょっと恥ずかしかったですけど、、」
サンドウィッチを食べる理々。

「でもさ、あれ作戦じゃん?」
パンをチーズで挟んで食べるナイトライド氏。(普通は逆)

あっはっは
「ガキの胸なんかキョーミねーよ
俺には奥さんがいるしな」

理々は『本当に興味ないです』の態度をしているライナスに苦笑いをしつつ
「(本当に、『ラスト・ボス』の威厳、、あるなぁ)」
とつくづく思った。


「武蔵と小次郎?」
ナイトライド氏とライナスが言う。

ええ
理々「そういう人物がいたんです。私の世界に。歴史上の、ですが。

勝負が決まる前に、『小次郎敗れたり!』と言い切ることで、相手の深層心理を崩したんです。

・・・そういう作戦を取りました」


理々『私の勝ちよ!』


呆気に取られる男ふたり。


理々「武士、は騎士と同じようなものです。
正々堂々、卑怯なことはしない」

ハッとして言う理々。
「あ、卑怯、だったでしょうか
・・・」


ラズベリーヨーグルトをストローで強引に飲みながらライナスが言った。

ライナス「いーんじゃねーの?
武蔵は武士。どっちも武士。武士がしたことは『卑怯』じゃ、ねーんだろ?」

「あれだよホラ。力?精神力・・・いやどうでもいいんだけど」
ナイトライド氏は、「精神力勝負をするための挑発」であって「卑怯な手」ではないことを簡略化した。

「勝てば官軍、だよ。まぁ、ね」


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ライナスは見送り時に言った。
「魔法使ったのは卑怯、だったがまぁ合格点だぜ理々さん」

ディスティングアロー。
古代のD層に存在していたとされる魔法である。
触媒は「巨大な屈辱感」で、誇り高い騎士職経験者がこの魔法を使っていたという。

愛花『いつか、使うと思う・・・』
ラスボスとの戦いを見越してだろうか。
D層では誰ひとり、使える人はいないのに。

・・・

理々「ナイトライドさん・・・」
パン・オンラインの生みの親はナイトライド氏である。
何となく、くっついていた磁石が無理矢理離される感覚に陥る理々。

・・・

全然悲しくもないし何でもないのに、目を潤ませる理々。


「精神の世界にいたからよ。慣れちまってるんだな。体が
カーカッカッカッカ」
のんびり笑うライナス。

頭を片手で押さえ、しゃがむ理々。
眠くて眠くてしょうがない感覚が陥り、「あの、ねむ・・・」と言って
うぐうぅぅぅっ!!と大声を上げて意識を取り戻そうとした。


ライナスは空中で蝶々を優しく捕まえて言う。

「もう、戻る時間さ。お姫様。
いつまでもここにはいられないよ
裕也君も戻るから」

・・・

パタッ


美しい粒子が空気中に霧散した。

・・・


ナイトライド「あれさ〜また読むんでしょ?『小さな世界』」

D層の世界の人間はE層(、F層)の物語を読めるが、その下は「そういう物語が有る」、
という情報だけで詳しい中身は見られない。

「俺あれ興味あるんだよね〜」


蝶々を離し、手先で小さな折鶴を作っているライナスが言った。
「まっ、関係ねぇわな」

ナイトライド「しかし初めて負けたよね〜ライナス」


 

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