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ナイトvsシーフ

小さな世界 > 第7章「交錯」
 



ギィィッ ギィィーッ

歯をガチガチ言わせ、ライナスを睨む理々。

足元には、ミラティーの空き瓶がある。

ぜえっぜえっ


・・・

ライナスは言う。
「負けず嫌いだな。そういうとこいいぜ。
騎士のな」

少しの物音もいちいち響く、闘技場。

はぁっ はぁっ
くぅっ

理々はひたすらライナスを睨んでいる。

ライナス「(普通なら『可愛げがねぇ』とか言われるとこだな
俺はそうじゃねぇ)」



ひゃあぁぁあぁぁっ!!

理々のソプラノの悲鳴が響いた。

パサッ
パララララッ


パラリッ

・・・
再度しゃがみ込む理々。


ナイトライド氏はそれを見、
コテンッと仰向けで倒れてしまった。


「な、、ん、、で、、」
戦意喪失している理々。


鎧を全て引き裂かれ、下着姿のみになってしまった彼女。


ライナス「マフィアって知ってるか?物語上のな。
怪しい素人さんを捕まえて、手っ取り早くどうこうする時に、素っ裸にするんだぜ」

理々は目を白くさせる。
恐怖しか無い自分が哀れなのだが、それにまだ至らず、自分の感情が分からなくなっていた。

ライナス「だから戦意喪失するためにやった」
卑怯だろ?とでも言わんばかりの目をして、短剣を空中でくるくる回した。

「ライナス!」
ナイトライド氏が遠くから声を掛けた。

「おめぇやり過ぎだよ!そんな。女の子に。やめろよ」


ライナスは余裕で言う。
「おんなぁ?俺にはな、格好良い男に見えるぜ」


理々はぶつぶつと何かを唱えだした。
唱えているのではなく、ただ独り言を言っているのかもしれない。

「・・・?」

・・・どうした?

ずっと何かを言っている理々に、疑問になるライナス。

彼がスッと理々に向かおうとした瞬間。

ズンッ!

ものすごい「突き!」がライナスの胸を直撃した。


「うごへっ!」
げほっげほっ

散々嗚咽の声を上げた後、右腕で口元を拭った。

血だらけだ。

ギリッ
「このっ!クソガキがっ!
なめんなよクズ!」

隙だらけの状態になっている。
攻撃するなら今!という感じだ。


カキンッ!

キンッ

余裕の無い、怒り真っ只中のライナスと、
騎士道に則った正しい型で綺麗に剣さばきをする理々。

ガキンッ ギンンッ!

キンキンキンッ

カンッ!


本当だ、格好良い。え、男?
おんな、、の?こ?

呆気に取られるナイトライド氏。


カンッ!
カンカンカンッ!

シュルルルッ

カンッ!

余裕があり、めったに自分はその場から動かず、相手に動かせるライナスが、
何故かたくさん『動いている』。


理々は一瞬、ピラッと胸を見せた。

たった0.1秒、ライナスの動きが揺らいだ。


理々「ディスティングアロー!!」

両手の平で巨大魔法を唱える理々。

いつの間にか聖剣が横に転がっている。


ドゥンッ!

みっともないくらい遠くに投げ飛ばされたライナス。

理々「愛花さん、て人からD層の封印された魔術を習ったの
成功したわ!
私の勝ちよ!」

理々が叫ぶ。

ライナスが血を拭きながら言う。
「・・・いい度胸だな」
冷酷で青黒い顔をしている彼。


ライナス「騎士が『隙を突く』とか『油断させる』『心理作戦』やるとはねぇ。
俺もひどいが。
相手に正義を求めて自分は卑怯のどん底に落ちて・・・

ふ、ふ、ふ
嬢ちゃん、おまえをぶっ殺してやる!」

ライナスはこれ以上ないくらい、無防備な怒りを見せた・・・
怪物を彷彿とさせるような・・・


 

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