現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

最上階

小さな世界 > 第7章「交錯」
 



F層『パン・オンライン』。

三角錐の形をした世界である。


一番下が、一番人数が多く、大きさも一番だ。
そして最下の低レベル領域である。

上に行くにつれ、人数も少なく、大きさも小さく
そして、レベルも高くなっていく。

一番上は最も過酷で、
低人数で助け合いながら極めて高レベルの敵たちと戦わなくてはならない。


裕也が行っていた「トルストーネ渓谷」も一番上の狩り場だ。
その狩り場に見合わない低レベルのプレイヤーには、モンスターは攻撃してこない。
ゆえに理々はモンスターから攻撃されなかった。


しかし。
現在は状況が違う。
理々はエンペリシャスという騎士職になってしまった。
封印されていた。


最後の敵を倒すべく、最上階に行かなければならない。

そこに、『ヴィ』と呼ばれる区域があるのだが、
それがとても恐ろしいようであった。

最後の道であり、ここは理々ひとりしか進めないことになっている。

理々の精神で創られている世界だから、奥深いところへは本人しか行けない、
と言うことなのだろう。


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ピッピッ

理々はエレベーターの中で大きな電卓のようなものをピッピッと押していた。

理々「よし、クリアね」

『最上階戦闘可能プレイヤー:可』

チンッ

広いホール。

裕也と理々は奥の総合受付のような場所に行った。

女性「お待ち申し上げておりました。
理々、さん?」
渡された名刺を見ながら女性は確認しながら言う。


理々「ええ、最上階に行きたいのですが」



「ふぅ」
手続きが終わるまで、座る場所でコンソメスープを飲みながらくつろぐふたり。

階、は7つあって、エンペリシャスになる前までは下から2番目の階にいた理々。


理々は意気揚々として嬉しそうに言った。

「えっと『ヴィ』は相当難しいところみたいです。楽しそう」

誰も行ったことのない地域。
しかし「こういう場所」という画像なしの情報はある。

よっ
「良くそんな余裕・・・」
裕也は言葉も出ない。
情報はとても恐ろしいのだ。画像があればきっともっとおぞましさが分かるであろう、、ところを。

ピ〜ロリリ〜

『256番。リリさん。13番窓口までお越し下さい』

あっ
ガタッとリリが立ち上がる。


女性2「まず、パートナーの方の『ユウヤ』さん、、エンペリシャスの。
まぁふたりでエンペリシャスって。すごいわ。
その、方からまず敵のえっと攻撃の仕方を習いになって・・・
大丈夫ということになりましたら、お手数ですが報せてもらえると。

そこで身体検査、ステータス全回復の(なんたらかんたら)」


要約すると、
裕也から最上階の敵の攻撃の仕方を一通り学び、
裕也から「OK」のサインを総合受付に送ってもらい、
全ての準備を整えてもらって、

『ヴィ』へGO、ということになるのだ。


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最上階。トルストーネ渓谷。

恐竜っぽいのをかなりデフォルメしているような敵がたくさんいる。

動きがかなり早く、
敵の色がバラバラのためとても苦労する狩り場だ。

裕也「行っくよー」
穏やかな顔をしてたったかたったか裕也は徒歩で渓谷を駆け下りた。

シュッ カキンッ!カキンカキン!
カキッ!
カンカンッ!
シュルルルルルッ

カンッ!

カンッ!


理々「ま、まるで、、シーフ系?みたい」

シーフ系とは身軽な泥棒系であり、腕力はないが、俊敏性は抜群。
そういう職業である。


カンッ!

致命傷は全く負わせず、ひとつの場所にとても鮮やかに誘導している。

「??」
理々は疑問だった。


裕也は剣を横に持った。

裕也「!ッディスインテグラートワー!(分子破壊攻撃)」


あっと言う間に、ギャアギャアッとうるさく響いていた敵が一掃され、静けさが辺りを包んだ。

裕也「俊敏がものを言うからね。すぐに攻撃しないと傷を負う。
最後のスキルは必ず成功する、と信じて一気に行く」
のんびりしている裕也とは思えない台詞だ。


理々は言った。
「私、私、絶対負けない!」

遠くから見ていた裕也。

その彼女の瞳を、「男のようだ」と思った。




 

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