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その曲は・・・

小さな世界 > 第7章「交錯」
 

 

魏家。


腕を組み、延々と説教する俐人。

妃羽はあんまり叱られるのでムカ〜ッときてしまった。

・・・
俐人「いい度胸だ」

妃羽は事情を懸命に話したのだが
「うるさい」のひと言でピシャリとされてしまう。

話は全部聞いている。


君は私の宝物なんだから
もう駄目だよ

余裕の表情でやっと言う俐人ではあったが・・・

下を向いて目をつぶる妃羽。
スーッと息を吸う。


「もう、しばらくは、君と離れていようと思う」
冷静に言う俐人。
物理的に、例えば別邸などに妃羽を移動させ、距離を取ろうという提案であろう。


下を向いて、妖艶な表情で言う彼。
「・・・何かあったね」

反応してしまう、妃羽。


<間>


「何だそれは!」

全てを話した妃羽。
(暘谷's スピリットが移ってる)

妃羽「あなたへの気持ちがしっかりしてるから出来たのです。こうしてお話だって出来てるし」

とっても悲壮感あふれる音楽が流れてきた。

ふたりの間に緊張感が増し、しばらく沈黙がずーっと流れた。


あっ
妃羽は言った。
「暘谷さんの、離れの家にピアノが・・・」

あって、そこで作曲したいのでたまに暘谷さんのところに行かせて欲しい。
と言おうとしたのだが。

「駄目だから」
静かな声でさえぎる俐人。


バタンッ、と大きい音を立ててドアを閉めて去って行く彼。


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そもそも、俐人へのある悩みが原因でこうなったのに。
発端は全てそこ、なのに。
悲しくなる権利はないが、悲しくなる妃羽。


「(司書も出来ない・・・作曲も出来ない・・・
庭があるか・・・)」
フーッとため息をつく彼女。


その夜は月が美しく、「友映と礼法にはどう見えているんだろうな」とふと、ふたりを
思い出す妃羽。


「?」
庭の「改造予想図」の図面を見て何かを感じる妃羽。

これをこうして、ここをこうなる・・・で。
「これって!」

パサッと図面が落ちる。

「(森林から河川、までをイメージしたものだ
何でだろ。・・・『力』がまた?)」


・・・


でも悪い気しない。嬉しい!
とても喜び、笑顔になってしまう妃羽。

力、でもいいやと思ってしまった。


寝る前の髪の毛整えをしながら、
空中、と月も作らなきゃ、と思う妃羽。


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すぅ・・・

月光を背にして、眠りにつく妃羽。

月光?
『月』だけ永遠?に作曲出来ない気がする・・・
何でだろ

前からそんな気がしてた・・・

薄れ行く意識の中で思う妃羽。



♪♪ ♪♪
♪〜♪



暘谷がピアノを弾いている。

無機質に、全く感情無く。

冷たい月。


そうやって弾きたいのに
全然弾けない、弾き方。

暘谷は妃羽の曲を評価するが、
妃羽は疑問であった。
暘谷の『月光』こそ最上なのに、と

恐らく俐人が弾いても、鴻日が弾いても・・・

誰が弾いても・・・
同じだろう。


夢の中で、妃羽は涙を流した。

この曲は
月。

永遠に?届かない月。

届かない人たちの曲。

『キャラーズの曲』


無機質に感じたのは、『作りもの』だから。
聴いた時にキャラーズを思い出したのは『キャラーズの曲』だから


 

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