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獅子たち

小さな世界 > 第7章「交錯」
 



暘谷邸。『弟』

コチコチ.....と、時計の音が響く。
パタパタと落ち着き無くスリッパであちこちを歩く妃羽。

観てないのにテレビをつけてぼーっとしている暘谷。


「じゃあ私から!」
妃羽が言った。

電話の順番である。


自分で思わず笑ってしまうくらいブルブル震えている妃羽。

暘谷は小学校の教師のように、その様を生温かく見守っていた。


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しばらくの取り次ぎの後。

(略)

俐人『しょうがないね。どうしたの?』
温厚な声。


返って緊張する妃羽。
これこれ、こういう理由でして。
丁寧に、凛としながら説明する妃羽。

「(あれ?もしかしてこの後、暘谷さん冷遇されちゃう?)」
一気に背筋が凍る。

ありとあらゆる、厳しいことを言う俐人。


◇暘谷なんて雇わなければ良かった!
◇この後暘谷がどうなるか分かってるかな
◇離縁する
◇今からそっちに行く

この繰り返しである。


「分かって下さい。わざわざ電話でハッキリと言ってるっていうのは
それだけやましいことがないからです。
普通そうですよね・・・」

俐人『アホか!なに考えてる!』

「私、、一度だけでも、、そうしたいんです。やましいことは全然ないですけど。
あの人はきっと、一生・・・
だから・・・」

一生、異性と縁が無いまま人生を終えるだろう。

妃羽「一度だけ女を好きになったんです。
だから少しだけでも、どうしても私」

言いたいことを理解する俐人。


俐人『私が同じことをしたら?どうなんだ』

パッと妃羽が答えた。
(すでに考えていた)

「許します!本当に好きじゃないのなら!
そして有りのままの出来事をちゃんと言ってくれるのなら!」

暘谷「(・・・理性を持て。理性を・・・)」
見てられない暘谷。



暘谷「代わりました(汗)」

あー今日ビール呑まなければ良かった・・・と心から思う暘谷。

俐人『おまえ、妃羽、好きだったのか・・・』
問い掛ける俐人。

ええ
としか答えない暘谷。

俐人は続けた。
『いつから・・・』

暘谷が、「妃羽さんは、婚姻することで我が組織にメリットがあるような女性ではない」と
俐人に進言した時からだと言う。

・・・

・・・

呆気に取られる俐人。
『全然気付かなかった・・・』


暘谷曰く。
「容姿もハッキリ見ていないし、性格も知らない。
話も最低限の挨拶ぐらい。
なのに好きになってしまった。いつの間にか」

とのことであった。

でも
何もしていません。

「それだけは分かりますよね?」

俐人『だといいが・・・』
何かを含んだような俐人の声。

今回も、同じ・・・ということ?
ピリピリした声の俐人。

暘谷「一生のお願いです」

・・・

・・・

『まあ・・・いいよ』
すっかり暘谷に信頼を置いているらしい。


『しかしさ、度胸あるなおまえ。感服したよ』
すっかり驚いているらしい。

妃羽がワザとトライアングルをティラリラリ〜ンリ〜ン、と鳴らす。

暘谷「そりゃね・・・(汗)」

『ファイアーが恐く無かったのか』

切れるもんなら切ってみて下さいよ
冷静に言う暘谷。


『ふぅん・・・?』
静かな声で感心する俐人。


『(妃羽・・・)』
彼は信じられない思いでいっぱいだった。


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俐人「(これもこれでしょうがない)」
何なんだこの試練は・・・と思う俐人。


 

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