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偏り

小さな世界 > 第7章「交錯」
 

 

そこは、妃羽の私室である。

妃羽はひとつの問題点と戦っていた。
物質主義的な力が自身を支配し、とても疲れるのである。

『力』からはもう逃れられた、もう大丈夫、と思っていたのに
何で?

体育座りっぽい寝方でごろん、と横になる妃羽。


少し前にそのことを気付き、何とかしなければ、と焦った妃羽。



数日前―・・・

妃羽『そっそれで
あ、ラーチャさんが その』


俐人『・・・そう』
俐人は何かを知っているようだ。


『ラーチャさんが「これから危険な時期に突入するから、
○○の方角で寝た方が良い」と言っていまして・・・』

妃羽は嘘をついた。

『ふぅん』
彼は優しそうにうなずいた。


一時的なものだよね、、と思いながらなるべく俐人の傍やかつての寝室に
近寄らないようにする妃羽。

・・・

ふぅ

庭もピアノもやる気がなく、料理でも作るかと厨房に出向く。

春雨、鶏肉、、たけのこ茹でて・・・

トントントン.....

妃羽得意の『鶏肉粉絲湯』という湯(タン)である。
(鶏肉と春雨のスープ)

ミニ・テーブルにユウが座り、「おい」と声を掛けた。


・・・

妃羽はバツの悪い顔になる。



20分後。

ズズーッ
ユウは器用に鶏肉粉絲湯を飲んだ。

前の右脚を動かしながら、彼は言った。

ユウ「俺にゃさっぱり分かんねぇ どうしたいんだ?」

・・・
それを言われると、、。と妃羽が下を向いてしまった。

妃羽「・・・精神的なものが全然無いの。ただもう物質的なものばかりで。
呆れられちゃう。最悪嫌われちゃう・・・」
アホみたいにじわ〜っと涙を浮かべる妃羽。

ユウ「(泣いてるのに、笑える図を見てるようだぜ)」
汗をかきつつ、笑いを必死でこらえるユウ。


涙を拭き、サラダを作ってもそもそ食べる妃羽。

朝は食欲がなくて食べられなく、昼が来る前にブランチを食べてしまおうという訳だった。


炭酸水を飲んで少し落ち着いた妃羽に、ユウが尋ねた。

「何処が不満なんだ?精神的なものがないところが?」

妃羽は、それ以外にも偏りによる変な部分が出そうなのが厭だと言う。


妃羽「妙な精神主義の偏り期間は、一定の時期で終わったわ。
だから、今回も同じだけ待っていれば、、きっと・・・」

あっ
と、妃羽が言ったと同時に、ユウがため息をついた。

「あン時はバグ?ってのがあったせいだろ。
今回はその時と状況が違う
つまりな、おまえさん自身が、、そう思ってるんだよ」


妃羽は両手で頭を抱え、左右で振った。
「いやー!もっとこうちゃんとしたー!厭だこんな私ー
司書の仕事したいーピアノー作曲したいー」

妃羽はおかしくなってしまった。


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妃羽私室。

「(まず暘谷さんのところに言って『森羅万象』CDを届けて・・・
離れの家のピアノ弾き許可を取らなきゃ・・・)」

自信の持てる材料『森羅万象』CDを見て少しだけ落ち着いた妃羽・・・

暘谷の家の離れにはピアノがある。
そこに人はめったに訪れず、本家からも遠い。

作曲するには持って来いの場所であった。


外に出るととてもいい天気で、
笑顔になる妃羽。

ユウはひと安心した。

「(まーまた夜になったらまた泣くンだろうけど)」
くるっときびすを返し、去ってゆくユウ。


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トマト「はい、確かに」

妃羽は言った。
「宜しくお願いします。
あと、『空中』と、、何だっけな。が遅れているので
お待ち下さいと・・・」


「おい」

え?

くるっと振り返る妃羽。

車のキーをつまんでいる暘谷がいた。

固まるトマトと妃羽。

びゅぅぅ〜ん
タイミングを狙ったかのような一陣の風。


わざわざ(強調)来てやったんだ。
もう仕事ひと息ついたしな
と暘谷。

妃羽「あの、今昼間・・・」

どうやら『森羅万象』が届けられた場合、速やかに暘谷に連絡が行くように、と
前もって指示していたようだ。


「(帰ってくるまでのことなのか・・・)」
と落ち着いて思うトマトと、

ドン引きして固まってしまう妃羽。


 

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