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小さな世界 > 第6章「休息」
 




ゴウン...ゴウン...ウィーン...

ガチャガチャガチャッ.....ウィーン.....


真っ暗に近い空間。

あちこちで大きい歯車や小さい歯車が回っている。

地面は一面ガラス。
・・・下でも同じように歯車が回っていた。


中央広場のような場所に、
竹流、彩海、冴子の3人がいた。


3人の場所だけ光が射している。


ここはG層への「関所」のような所で、
G層の威圧や重力に耐えられるか、そのメディカルチェックをする場所である。


体調が悪い時はA層の人間も、B層の人間も「入層不可」の反応が出て入れないこともある。
全てをチェックする&治療するのは冴子だ。


冴子「竹流さんは、どうせ『向上心』で何とでもなるわね」
ハイヒールをカツンッと鳴らして冴子は言う。

竹流「まぁ、、そうかなぁ?う〜ん」

あ、で。
せっかちに竹流が言う。

ドゴーンッ!
歯車の音が大きく響く。

「うおぉっ びっくりしたあぁっ」
両手を頭の後ろに組んでいた竹流が、後ずさった。


1、竹流が花宇をG層から連れ出す。
2、彩海が花宇をD層まで連れていく

※G層に入れるのは竹流だけ。
※層間の移動係は彩海なので引き継ぎ。


冴子が横を向いて話す。
「花宇さんがここに来た時、話したいことがあるわ」


ゴウン.....ガガーンッ.....
ガウンガウン ゴーン.....


竹流は「音が気になる」的なことは言わなかった。
思いもしなかった。

不思議で、ふよふよ体が浮いてるような感覚を覚える空間・・・


彩海「花宇さん、少し休息が必要な気がする」

ブンッ と彩海の方に振り返り竹流が言う。
「・・・だよねぇ。おばあちゃんとの約束?もあるし
色々頑張って、ねぇ?」

いつの間にか遠くに行っている冴子。

冴子「・・・花宇さんはある願いを持っているわ。
それが無ければ・・・」


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窓の部分に、そっと紙を置いておく花宇。

部屋を見渡し、何度も何度も頭の中に刻み込もうとしたり、
ぼんやーりと覚えるようにしたり。

昼間、やけにこの部屋をキレイにするように掃除して、シーツを取り替えたり、
それで汗だくになってお風呂に入ったりしたなぁ・・・

と思い出す。



G層脱出させ係の竹流が
『あ、じゃあD層行くときはここ書いといて』
とノートなどがある場所を指さし、
窓にそっと置いておいてくれ、と言った。

彼は毎日、それでG層に行き、窓のメモをチェックしていた。


窓に置いておいた紙を再度手に取る花宇。

『竹流さんへ。
やっと、D層へ行くことが出来る準備が出来ました。
みなが寝静まっている夜(○○時〜○○時)に来て頂ければ
幸いです。
花宇』


・・・
しょぼーんとする花宇。
「まだ、おば、、妃羽さんと俐人様の子、、を見届けてない。
せめて出来たことが分かれば・・・」

役割を全て終え、C層に帰って『清子』として祖母に会いに行く時に、
花宇の顔だとか雰囲気で「本当なのかもしれん」と分かってくれる自信があった。
「均という女性はとても幸せだった」という事実が、作られるだろう。

花宇(清子)の手で。

しかし花宇は中途半端なのが厭だった。
「(どうせなら完璧に・・・)」


・・・

ハッと気付くと、長身の男性がとてもみっともない座り方をして、
寝ている花宇を見下ろしていた。

普通なら叫び声を上げるところだが、今日中に竹流が来ると思っていた花宇は少しビクッとしただけで
さほど驚かなかった。
(どんな風に驚くんだろう、とシミュレーションしていた)


あっ と花宇は驚いた。
「そ、それ」
竹流の珊瑚のピアスを指さし、「それっおばあちゃんの!」
とでかい声で叫んだ。

極めて特徴的な傷が有る、と彼女。


・・・あ、これ
あたふたする竹流。

「おばあ、、ちゃんのなの?あーこれ何処かで買ったものなんだけど
え?似てるの?・・・これねー何処だったかなー 大昔に・・・」

下手な嘘をつく竹流。



気付くと、夜空を竹流と一緒に飛ぶ花宇。

花宇は涙声で「じぬぅー!おっこったらじぬー!おろしてください!」
と言っていた。

「下見なけりゃいいんだよ」と竹流は言い、

さー、垂直に上行くよ。
目つぶって。

そう言って花宇の手を握り、ピューンッ!!と空に向かった。

体中、串刺しにされる感覚を何度も味わい、花宇はぎゅーっと目をつぶった。


 

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