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小さな世界 > 第6章「休息」
 



海と砂浜。

すぐ近くにとても小さな崖があった。
(3Mぐらい)


ジャリッ.....


禅が崖の上を見上げた。

「おかえり」
禅の視線の先の少女が言う。


少女「どうせさ、無理だったでしょ?」


ざざ〜ん.....

ミャア、ミャア、、

ウミネコが鳴いている。


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少し昔―・・・


同じ場所だ。

その日は天気が悪く、海もいつもより色が濃かった。


禅は砂浜から小さな崖の上を見た。

崖の上の少女は手を出した。
「おいで」

禅はためらわずに手を握った。


ふふ
少女は嬉しそうに笑った。


・・・


禅はA層の大きな中央広場に行こうと、そこを去ろうとした。

飛空挺で行くので時間が掛かる。


待ちなさい犬

少女は呼び止めた。


禅は振り向いた。


少女「私、駄犬ばっかりだったけど、最後にあなたみたいな最高位の『犬』を、
忠義の犬を手に入れられて。
すっごく幸せよ」

禅「・・・」

海がとても荒れだした。

風も少し強く吹いている。


こうして、禅は『影武者』となった。
主のためなら、命だって惜しくないと思うほど、主が大切だった。
影武者として、どこまでも主の役に立てたら、と思う。禅。



あの日―。


絶命寸前の危機で、誰も助けてくれない。
親も知人も誰も・・・
子供も・・・

植物も建物も、、

もう、このままチリと化し、無へと還るのだろう。
何という冷たい、、冷たくて重い世界だ。
重すぎて痛い。

空気すら重い。

このまま無になるのか?
薄れ行く意識の中でもがきながら思っていた、禅。

・・・

全面の真っ白な世界の後、真っ黒な世界が覆いかぶさった。


『ならぬ!』


すさまじい怒声が、暗闇を中央から突き刺し、・・・そして。



ぽちゃ.....

「おまえは死ぬべきじゃなかった
元の世界にお帰り」

『おまえは本当に必要な、G層の「2100万人の内のひとり」だから・・・』



G層に「マザー・テレサ」という聖人がいた。

その聖人はこう言った。
「最も恐ろしいことは、貧困にあえぐことでも、病気にかかることでもありません。
誰も気に掛けてくれず、全ての人に見捨てられることが何よりも辛いのです」


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先程に戻る。


禅「・・・何故、無駄だと思ってG層につかわせた」
禅が口を開く。

「遊びよ」
少女がくるっと振り向いた。

どうせ
そんなもの駆除なんて出来ないでしょ、って。
怒った?

禅は黙っている。

・・・

「一番おバカな層なんだもん
バカな子ほど可愛いって言うでしょ」
禅に、何故G層に良く行くのか、を聞かれて答えた少女。

「あんなの、に期待してる訳じゃないよ。どうせすぐ滅ぼしちゃう、、
壊しちゃうし。
何とかならないかな、良くなって欲しいなんてひとっつも思ってない。
てことは「可愛い」ってのは嘘になるのかな」


あなたのG層での仮の名前、『ラーチャ』の意味、分かった。

そう言って、禅は去った。


 

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