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「もうひとり」

小さな世界 > 第6章「休息」
 



或るものがいた。

たくさんある存在の中、稀有な存在のように見えた。

或る時、その者がみなから見捨てられ、息も絶え絶えになっているのを見た主。

絶命してしまった。

主は「ならぬ!」と一喝、生き返らせてしまった。

生き返ったその存在、主を見た。
今まで見せたことのない驚いた顔。

主も、今まで一番驚かれた顔をされた、と思った。


存在「あ、あなたは・・・?」


カタカタ震えだすその存在。

その、自身の恐怖すら、恥じる余裕もないくらい恐れを感じていた。


右手をすっと上げ、主はその存在をある荒野へと連れて行った。

「おまえは死ぬべきじゃなかった。私は全然後悔していない」

そして振り向く主。

「こんなに怯えられたことは、初めてだ」

その存在は唇が紫、脚が曲がっている状態で立っていて、まともな状態で主と対面していなかった。


「目は・・・ずっとそらさないんだな」

主は笑った。

「また、世界に帰るんだ。おまえはG層・・・おまえの住まう世界。
そこに必要な、2100万人のうちのひとりだから」


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A層。


同じような荒野で話す、主とその存在。

主「左手でもこうすると、ここに来れるんだ
まぁ『お話スペース』だな」

荒野の説明だ。

・・・

「彩海から聞いた。おまえが強い意志で・・・ここに来た、と」
私を乗っ取るのか?」

それならそれで、と主が言おうとした瞬間、

「・・・いや」
とその存在は言った。

「私はあなたに借りがある。
助けてもらったことだ」

ひゅうぅうぅっ

「運命だろう。そういう運命だった。私の意思は関係な..」

「あなたの意思だ」
さえぎるその存在。


ビシャアアアァァッ!!

ビシャッ!

ふたりの周りが一気に大海となり、その海が大荒れになった。

ふたりの周りだけ陸地になっている。

眉ひとつ動かさないその存在。


「それで?どう、したいんだ」
目的を聞く主。

「あなたを助けたい」
機械的に言うその存在。


この人間は現在、C層に生まれ変わり、現在は
「鬼龍 禅(きりゅう ぜん)」
という名前になっている。

かなり歳が若く、幼いのだが
大人物としての自信が、物怖じしないものを
作り出していると思われる。


「おまえの人生を行けばいい。
私は大丈夫だ。
気にせずとも..」

禅は語った。

私の人生はあなたに救ってもらったから存在している。
ひたすら、あなたを探し回る人生だった。
きっと、護るのが私の義務であり、、人生の課題であり

禅「私の願いなんだ」



主は疑問に感じた。

パッと 今度は一面の砂漠になる周囲。

「そこまで何故。おまえは何者」



パンッ!!




何処かの廊下。

彩海が走る。

すぐ傍の大広間を見る彩海。


彩海「『忠義』のプレートが輝いている・・・」


彩海はあまりのまばゆい光に、目が痛くなってこすりまくった。
それでも痛くて、目を薄く開けつつ、大広間を去った。


それを、2段上の階から眺める冴子。

・・・
冴子「(『影武者』が出来たのね)」



主は言った。
「おまえが私だったら良かったのに」

禅「私は、あなたあってこその私だ・・・」


主は笑った。
「確かにな。運命だな。影武者、か」


 

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