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忘れもの

小さな世界 > 第6章「休息」
 



<花宇私室(小さい)>

きゅっ、と最低限必要なものを小さいバッグに入れ、
花宇はひたすらばたばたしていた。


先日―・・・

愛衣さん、李さん、皆さん、私事になりますが、こうして皆さんと離れることになって
とても悲しく思います。

また会えることがあったら・・・(あれっ)

そう花宇が言った瞬間、
召し使いたちが花宇に抱き付いて(飛び付いて)
わんわん泣いた。

『お父様に宜しくね〜』と召し使いA
『ま、また来てね。他行っちゃやだから』と召し使いB


花宇は『上海にいる父親が重病で、すぐに向かわないと危険なので
このまま帰り、看病したいと思います。・・・このまま、お暇を頂戴したく存じます』

と、魏家の主人、俐人に言った。


俐人「・・・」
きっと何らかの任務を終え、こことは違う世界に行くのだろうと推測する俐人。

あの日
花宇『妃羽さんと俐人様はとても素敵なんです。
幸せになって欲しいんです。って、変な言い方ですね。上から目線?』

必死になって言っていた花宇。


俐人『(思い入れが有る言い方だったな。身内とかか?
・・・似ていて、重ねていた部分もあるのか)』



現在―・・・

花宇「(妃羽さんにも言ったし、大丈夫よね。フー。
・・・上海に帰ってもずっとかかるかと思っていたら、すぐだった)」

妃羽と俐人の愛の見届けである。


ぐしっ、と花宇は涙を拭いた。
でも耐え切れなくなって両手で顔を覆う。
(こんなに泣き上戸ではない)

「(あのね、あれが、、本来のおばあちゃんの人生なんだよ。
本当なんだもん)」

C層に帰って、報告した時のことなども勝手に考える花宇。


『へー 写真は?』

『相手の男はどんなんなの?』

と興味を示す均に、
写真を見せる花宇。

(祖母が欲しがっていた、とすでにふたりから写真をもらっている)

・・・
均『ん、まぁいいんでない』
という均らしからぬ言葉。

『で、何処で知り合ったの』
『女の方、いくつ?男の方は?』

色々と聞いてくる図が思い浮かぶ。

が。

『子供は?』
という言葉が頭をよぎる。

まだ見届けてない、というのを言ったら
あの時代の人間である。
フッとため息をついて
『子供は作んなきゃダメだろ』
と言うだろう。

均『それが旦那様へのご奉公ちゅうもんだね』
などと言い、

失敗した!と青くなる自分が想像出来る。


花宇『(懐妊まで待たないといけないのだろうか
でもおばあちゃん、気にしそう・・・)』
汗をかく花宇。

どうしよう、、100点取りたくなってきた。
い、今更・・・
参ったわ・・・


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沙耶子「計算ならいくらでも思いつくけど、そういうものの末に生まれた子って
気の毒だわ」

困った末に沙耶子を出した花宇。

何故か部屋を暗くして、ベッドの明かりだけを付けて話すふたり(頭の中で)。

「(・・・やっぱダメか・・・うーん)」
花宇は思う。


ハッ
ガバッ 花宇が身を起こす。

「あ、あの時。・・・か、勘違いかもしれないけど」


少し前に、妃羽が口元を手で覆っていたのを思い出す花宇。
「(ままままさかっ いやいやいやっ 敏感になってるだけよねっ?
敏感になってるだけ!)」


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その日、D層にもうすぐ行くであろう花宇ともう少しコミュニケーションを取りたいと、
妃羽の方から花宇のところに来た。

注釈だが、花宇は何故か妃羽には嘘を付けず『D層』という場所に行くと伝えた。
層、について何も聞かない妃羽に、「層世界やら何やらを知っているんだ」と悟る花宇。


ふたりは虎原海に行った。

砂の山などを作っている花宇と、デッキチェアに座ってヨガの真似事をしている妃羽。

「あの!」
突然花宇が声を上げた。


 

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