現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

本当は

小さな世界 > 第6章「休息」
 



動物的なカンが鋭いのか・・・

妃羽が待っているその晩は、俐人の帰りが遅かった。


耐え切れず、電気を消して、布団の中にもぐりこむ妃羽。

・・・

・・・

パッと何かのタイミングで目を開ける妃羽。
だいぶ時間が経っているような感覚。

「(う?)」

凄く嫌な感覚だ。
周りを何とも言えないものが取り囲んでいる。

ニタァ.....ニタァ.....

妃羽を見下ろしている


妃羽は恐ろしさと意味不明さで取り乱した。
しかし動けないので取り乱すことも出来ない・・・


目は開けている。
半覚醒のまま、体が動けない、という状態のようだ。


すると大きな、頭にひとつ角が生えた胎児のような生き物がどさっと乗った。

「恐いだろ〜」
的な言語を話しているような感じもするし、
精神的な攻撃をしているように思える。

するとそこへ、
何人もの、胎児のような生き物が現れた。


「(ユウ、ユウ。助けて・・・。
ユウ・・・ユウ・・・)」


何故か、ユウを呼んでいる(心の中で)妃羽。


一気に力を込めてやっと身を起こせた時、
「(あ、今は司書じゃないんだ。そうか。俐人様の・・・
ここで暮らしているんだった)」


-------------------------------------------------


午前2時半。


俐人「猫と一緒にいた時を、懐かしく思っているのかな」

遅くに帰って来てサッとお風呂に入り、
妃羽の話を聞いて俐人は言った。

・・・
妃羽「そうかも・・・しれない。
今の幸せより、あの頃の方が」

俐人は興味が無さそうだ。


妃羽は言う。
「あなたは、み、魅力的で、色々、その素敵で。
でも、人形みたいで」

「好きにさせられているだけで、本当に好きなのかは・・・」

カチャッ
ティーカップを小皿に置く音。

・・・


俐人「そんなことないだろ」
包み込むように言う彼。

・・・

「・・・昔の、司書だった頃とか
友達、友映と礼法と一緒にいる時とか」

その頃の方が幸せだったように思う・・・


そんな妃羽に、
俐人「突然どうしたの。大丈夫?」
と言う俐人。
(当然である)

・・・

昼間、庭園で考えていたことを思い出す妃羽。

「あなたを知らないままだった方が、
その方が良かった気が・・・」

下を向いて妃羽は続ける。
「・・・あ、あなたを好きになるなんてなかったと思います。
全部仕組まれたものでっ・・・!」

・・・

し〜ん


真面目な顔をして俐人が言った。
「また何かあったのか?」

話してみろ。

凛とした声。


「・・・という訳です。
何かこう。し、幸せを感じられない」

このまま俐人に愛想を尽かされて嫌われたらいいかもしれない・・・
と思う妃羽。


俐人「それはシナリオのものじゃないか?
やたら幸せを感じられないとか、離れたがるとか」


口を押さえる妃羽。

周りが真っ暗になるような感覚に襲われる彼女。

・・・

「(あれ?言われてみればそうよね)」
何でやたら俐人様から離れようとするんだろう。
気付く妃羽。

ニャ〜オ
ニャ〜オ

ユウではない猫の鳴き声がする。


俐人は厳しく言った。
「自分をしっかり持て。
運命に踊らされるな」


彼の、様々な優しい言葉も、何もかも
シナリオが動いているだけで、、『力』が働いているだけで・・・


本当の言葉ではないかもしれない。

妃羽はどうしても自分に自信が持てなかった。

・・・力に操られない「独立人間」になりつつある今、
本当の自分に気付いてきたのだろう。


私は私の意思で動きたい・・・。
と思う妃羽。


-------------------------------------------------


『だから。何』
俐人はこういうことを妃羽が言う度に、そう答えるようになった。


 

BACK「混沌」  NEXT「ゆらぎ」