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独立

小さな世界 > 第6章「休息」
 



妃羽「・・・強い力で、、私の強い想いで『そうなって行くんだろう』って。
14歳の私を見て、思ったんですね。
パーティの時に私をもう一度見て、そのことを思い出した・・・」


奇抜な格好をしている訳でもないのに、何故か妃羽を知っていた俐人。
そういうことか。と合点が行く妃羽。

「突然離縁を申し渡したのは君が怖くなったからだ
私の心を本当に捉えそうになったから」


妃羽は力の強さを思う。
「でも、本能をいじられて、、そしてその力に反発して『バグ』が出て・・・
離縁の後も私を追い求めざるを得なかった」

ピーチチチチ

チュンチュン...

ピーッ

鳥の鳴き声が気になり、俐人は窓を閉めた。

「君も随分あっけなく離縁に承諾したね・・・」


安心したんです。
世界が違うって。
「今までは世界が違ってもいい、って思っていました。
でも実際そうなったら、、あまり場違いで・・・」


俐人「暘谷の所に逃げ込まれた私の気持ち、、分かったかな」

う"っ

ドクンッ、と心臓の音が鳴る。

「し、シナリオだと分かっていながらも、、物質主義に偏りすぎていたバグには対応出来ず・・・
本当に無理で。
あれはどうしようもなかった!」

窓からの白い光は引き続きある。
雰囲気と同じように、少し暗くなって欲しいと妃羽は思う。

「でも、、あなたもシナリオだって、、私の望んだ世界・・・バグも込みで。
気付いてあえて私を求めていた」

「そうだけど・・・?」
寂しそうに言う俐人。

・・・
「離縁しなかったのは、嬉しかったです。
暘谷さんはとても素敵な人ですけど、私はずっと、、」

俐人「暘谷とは、」
静かにさえぎる俐人。

何も無かったんだな?


は?
「何も無いって。何がですか?」


「・・・え?」
俐人は固まった。


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俐人「どうも君は・・・暘谷と仲が良いようで
(訳:どうも君は暘谷のことになるとアホになるな)」

何かのペットボトルを一気飲みして言う俐人。

プスッ

俐人の切ったパイナップルを爪楊枝でさす妃羽。

「だって、、やめて下さいよ。あの人は・・・
魏家の秘書さんであって、尊敬する人であって、
それ以上でもそれ以下でもないです」

・・・

妃羽がハッとして言う。

「逃げ込みはしました。でも。はい」
先程の続きだ。

俐人「君は振り回すな、結構」

え?
妃羽が驚いて振り向く。

俐人「そうやって、無自覚に楽しんでいるんだろうな」

言葉が出なく、固まる妃羽。

プスッとパイナップルをさし、黙々と食べる俐人。


妃羽はハッキリと言った。

「あの。でも・・・私はあなたが好きで。
本当に薄っぺらではない愛はあなたひとりですし、、そう出来る自分を誇りに思います」


俐人「・・・分かってるけどね」

妃羽はもじもじして言った。
「い、色んなもの・・・これから好きになったりすると思いますけど
最後に残るのは、絶対あなたです」


妃羽は理解した。
こんなに強い想いがあるから、世界が色付いたというか、
「新たな世界」が築かれたのだなぁ、と

G層 → 妃羽の(新たな)G層


「どうだか・・・」
憂いに満ちた顔で俐人が見つめる。



妃羽は困った。
「わ、私のわがままで世界がこんなことになって。
もうどうしていいやら。
あなたにも、他の人にも申し訳ない」


少しだけ日の光が落ち着いた。



「(何でこんなことに)」
ベッドで掛け布団を掛けて休んでいる妃羽の横で、
ぽんぽんぽんっと妃羽の布団を叩く俐人。

子供を寝かし付ける動作だ。


シナリオがあるのを分かっていて乗ったこの人。
力に逆らっても無理だと思ったから無駄なエネルギーを消費しないように・・・ってことで。


「(まぁいいや・・・。片想いでもいい)」

まるで生まれたての子のように、すやすやと寝る妃羽。

そして母親のように妃羽を見守る俐人。


 

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