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はがれて

小さな世界 > 第6章「休息」
 



ラーチャの元から去り、妃羽は何かを気付いた。

ピンッ!
とそのことが視えてきて、
バレたくないバレたくない、と思いながら心臓の鼓動が激しくなっていき。

同時にブレスレットと未生命と思われるものたちの戦い?があるのか
熱を帯びてゆき一気に体がだるくなっていった妃羽。

「(予防注射ってやつかな。これから免疫が付く・・・のかな)」
ふぅっと息をはく妃羽。

パジャマに着替え、カーテンを引き、

「(電気・・・)」
部屋の電気を消そうとした瞬間。

俐人が部屋に入って来た。

妃羽「あ・・・」


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妃羽はベッドで正座をしていて、
俐人はベッドの横でひざまずくような格好をしている。

ギシギシギシッ
妃羽は左右にベッドを揺らした。

・・・

・・・

妃羽「(言葉が見つからない)」

俐人「具合はどう」

ハッ
「あ、はい。だいぶ・・・いや。調子悪い、です」

俐人「ん。良く休んでね」

・・・


5分後。

妃羽「・・・・・・」

立ち上がり、ポケットに手を突っ込んで俐人が少し遠くに行った。

「(長い沈黙・・・
・・・やっぱり、知ったんだよね。秘密)」

ドア付近で会った時に気付いたのだ。妃羽は。
俐人が何かを知ったのだと。

・・・
「あの」
やっと言う妃羽。

秘密・・・どうしてこの世界が生まれたのか・・・
いや、色付いたのか
気付いた・・・あなたは


俐人「気付いてたよ」

「気付いた」ではなく
「気付いてた」。

ギシッ
タッタッタッ
ベッドから降り、妃羽は俐人の所に行った。

「一体いつから?
いつからですか・・・」

俐人側の部屋は明るい。
寝室の横にリラックスルームのような空間がある。
そこの窓から明るい光が射している。

背を向ける俐人に、妃羽が立ち尽くす形になった。

目をつぶり、ひたすら俐人を見ないようにする妃羽。

俐人「いつからだったか・・・君が私を・・・初めて見た時から」

確信を持ったのはパーティの時。
そうだと思ったのは、君が14歳の時。

ビシイィィッ!

妃羽の心に亀裂が入った。

「うっそ!嘘だあぁ!嘘よ!」
取り乱す妃羽。

振り向く俐人。
「君の、強い・・・私への気持ちで」

この世界は生まれた。


両手で顔を覆う妃羽。
「ひどい・・・知っていて、、私のシナリオを歩いて・・・
どう見えたんですか。私が・・・」
後半は涙声になっている。

俐人は冷静に言った。
「可愛かったよ。私のことが本当に好きなんだってね
でも・・・楽しかった」


世界はもともとあった。

主は気まぐれでG層に降り立った時に 魏 俐人 を見掛けた。

主は自分の身代わりの「妃羽」を作り
妃羽だけの世界を創らせた。

G層を、「妃羽のG層」にしたのである。


14歳までの妃羽を主は設定し、
そこから「妃羽」の人生は始まった。


14歳の妃羽が雑誌に載っていた「魏 俐人」を知り、虜になる。
何かの偶然で大きなビル内で、実際に俐人を見掛けることがあった妃羽。

目が合うふたり。
妃羽はそのままサッとその場所からいなくなった。


主のシナリオは・・・

人を「もの」としてつまり人形として見る俐人が、
やっと人を「ひと」つまり人間として見ることが出来るようになった。
それが妃羽。
ふたりは仲睦まじく、ずっと一緒に幸せに暮らしましたとさ。
めでたしめでたし

・・・であった。


妃羽にそのシナリオが適応されるべきだったが、バグが起こり
様々なことを経て今に至る。

バグとは、主ではなくて主に創られた人形たちが「自分の意思」で動き、
シナリオとは異なった動きをする現象である。

俐人、暘谷、鴻日、・・・
そして妃羽。
様々な人間たちにバグが起こった。

バグが多発したのにも理由はあった。


「シナリオに従い、バグにも付き合い・・・
あなたはお強いですね・・・」

情けない?言葉しか出ない妃羽。


 

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