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大和

小さな世界 > 第6章「休息」
 




A層はA層そのものが宇宙であり、物理的物体である。

B層は砂時計の形をしており、ヤーヤーと呼ばれる太陽的存在がある。


C層はG層の世界の物理的物体「地球」の5倍の大きさがある。
太陽系もG層の5倍だ。


D層は四角柱の世界で、四方八方から暖かい風が吹くという世界になっている。
これが太陽風に該当し、空から布のようなものが降りたり上げられたりすることで
「昼」と「夜」の概念が生じる。


E層もG層の世界の3倍の大きさで、
太陽系はG層の3倍だ。

F層は三角錐の世界で、太陽だとか風とかの自然現象は全てE層のものを引っ張っている、
という世界だ。


G層は、C層とE層を最も最適化した世界である。




ポンポコポンッ

和風の丸いおもちゃが転がる。


ガラガラガラッ
ある部屋を開ける女性。


あっ
女性「主様、ここにおいででしたの」


主と呼ばれた存在はそのまま背を向けて奥の方に行ってしまった。

「まぁ、和風のおもちゃ」
女性はしゃがんで丸いおもちゃを手に取った。


・・・


ある建物のベランダのような場所で、主が遠くを見ていた。
女性も傍にいる。

「主様は、大和(やまと)と呼ばれる国がお好きなのですね」

「・・・
主ではなく、影武者だ」


差し出がましいようですけど
「大和はお好きですか?」

「嫌いだ」
その存在は言う。

手に美しい和風のおもちゃを持ち、言う女性。
「でも、和風のお名前をこの世界の存在たちにお付けになったり」


宝寺 竹流(ほうじ たける)でしたかしら・・・
あのお名前とか風流でした。


女性「あら?」

いつの間にその存在はいなくなっていた。


びゅぅうぅぅうぅ

ひゅうぅぅぅ

A層にはしょっちゅう吹く『風』が吹いた。


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遼一「みっちゃん。あの子、どうだった?」

先程の女性に、遼一が声を掛けた。

女性「・・・主様は」

ふたりは主の父親と母親である。


遼一は何かを悟った。
「そっとしといた方がいいか」

女性「ええ」


びゅうぅううぅぅぅ
びゅうぅぅぅううぅぅ

びゅううぅうううぅ


あまりの風に、A層以外の人間たちはすぐに体調を崩すであろう。



あー疲れた、という格好の遼一。

女性「主様も色々お考えになることが
・・・深くお考えなのだわ きっと―」


千条院 美智(せんじょういん みち)
主の影武者の母親である。

彼女は主により、「創りだされた」存在であった。
そして遼一も。


「こういう存在が父と母だったらいいな」
という願いの元に生み出され、今に至る。



「どうした?」
遼一は美智が泣いて袖で顔を押さえているのを見て駆け寄った。

美智「私にはどうすることも出来ない。
主様を救うにはどうすれば・・・」

遼一は美智のこういう取り乱した顔を見たことがないのでそっちの方が気になった。

美智を抱きしめ、遼一は言った。
「あの子は強い子だよ。そう思うこと自体、失礼だ」


・・・
大きな、木で出来た屋敷。
造りはG層の大和の「平安時代」という時代の建物と同じように造られている。


美智「主様を苦しめる『大和』なんて好きにはなれませんわ」

遼一「僕たちは、主が・・・あの子がG層の大和の土・・・を元にして作られた訳だ。
あんまり悪く言うのもね」


どこかの木の葉の露がぴとん、と落ちた。

大和の涙のようだった。


 

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