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色んなデラックス

小さな世界 > 第5章「知られざる」
 



ユウ「(・・・妃羽。大丈夫か
まさかあの部屋の中で病気で倒れているんじゃ・・・
いや、医者が来るか そしたら)」

妃羽の部屋でねこじゃらしのおもちゃをいじりつつ、じゅうたんに渦巻きを描くユウ。

ユウ「(どうやらいい感じにはなったみたいだが・・・
戻ってこねーと)」

ひたすらうろうろして心配するユウ。


ずっと、外に出てボス猫か何処かの猫と戦い(そして全勝)
疲れると妃羽の部屋に戻ってテレビニュースを見、

また夜になって気まぐれにあちこち散歩する・・・

最後に召し使いがシャンプーをし、妃羽の部屋で就寝。


そう過ごして、7日目である。

ユウ。

Xジェンダーと呼ばれる、希少種である。

性別、というものが存在しない。


通常は、
男性、女性 とあって。
それぞれ異性を愛する。

同じ性を愛する人を「同性愛者」と呼び
男性は「ゲイ」
女性は「レズビアン」と呼ばれる。

また、
体と心の性が一致していない人を
「GID」と呼ぶ。
恋愛の対象は「異性」か「同性」かは
それぞれであると思われる。

男性でも女性でも在りたいと思う人を「両性」と呼称、
男性と女性の中間で在りたいと思う人を「中性」と呼ぶ。


異性も同性も恋愛対象の場合は「バイ・セクシャル」と言う。



ユウは「Xジェンダー」。
性別が無い、という特徴がある。


まだ俐人が青年時代。ユウは何故か俐人と仲良くなった。
少しだけ・・・だが。

そしてたまーに魏家に(4ヶ月に1回とか)来るようになったのである。



ある雨の日、サングラス姿、白衣を着て雨を窓から見ていた時。
そう、人間の男性(外見)になっている時だ。

あの場所は何処かのビル内であった。

ユウ『・・・おまえさんだけだぜ。俺の正体を見抜いたのは』
後ろの方にいる人物は沈黙したままだ。

俐人『・・・名前を伺って宜しいかな』
やっとしゃべる、後ろの男性。


『名前はない。国もない。俺にあるのは『ユウ』って呼び名だけだ
性別もないぜ』





『何も聞かないんだな?』
不思議に思って振り返るユウ(人間)。

『あの猫だったと。それだけだろう』

汗をかくユウ。
『(只者じゃないな。何故見抜けたんだろう)』


たまに向けられる、全てを見通したような目。
自分の正体を知っているのか、と思って「メッセージカード」を作って
俐人の目に付く所に置いておいたのだ。


現在―・・・

後ろから歩いてきた人間、は全く動じていないようであった。
そこで、「何だそりゃ」と悟ったユウ。


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ユウ「(だいぶ昔の話だな。俐人サマは全く変わってねーや)」

トップシークレットというか、誰にも任せにくい重要機密など、
そういうのを「請け負う」ことになったユウ。


『それが、命令だ
君に選択権はない』

あの日、妃羽に会った。


「(ずっとお世話になってるお姉さんじゃねーか。この人か)」
汗をかくユウ。

そして
「(この人なら大丈夫だろ)」と
当然のように思った。
当然のように。


まだ妃羽がアパート暮らしで司書だった頃、ユウは妃羽のところに良く遊びに来ていた。
危なっかしく、すぐに事件に巻き込まれそうな頼りない妃羽を「見てられない」と思い
見守り係のような存在になっていた。


Xジェンダーのユウ。
いつしか妃羽を心から大切に思い、純粋な気持ちで「幸せになって欲しい」と心から願うようになっていた。

ユウの情報を詳しく知っているのは俐人のみで、
だからこそ「妃羽と一緒に、猫の姿とはいえ一緒に寝ている」というのを許諾している、
という訳だ。


チャッ

妃羽が入ってきた。



前脚をパッと上げて歓迎するユウ。
久し振りで嬉しかったのだ。

妃羽「ゆ、ユウ・・・」

ニーッと笑ってユウが言った。
「どうだったい。俐人サマとの楽しい時間は」


ドスッ

ユウの頭の上に、ユウの大好きな『ネコネコデラックス(名前)』がたくさん入った袋が乗せられた。


 

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