え?
彩海「時間のバグが起こってる。D層の秘密管理人と、ここF層で会えないことに、、
なったわ」
ここはF層、パン・オンラインのヘーベル高原。
花宇の中身、「清子」はD層の愛花に会えるのを楽しみにしていた。
『神々の黄昏』という本に出てきた大好きなキャラだからである。
ナイトライド氏、アルドヘルム、クリスティン、
そしてジョセフ。
D層の様々な人々に会ってきて、
ここ、F層に降り立ち、D層の秘密管理人、愛花と会うことになっていた。
(※E、F層には秘密管理人が存在しない)
・・・
彩海「2年後、愛花さんはここにくることになっているわ。
普通に時間を合わせて、すぐにでも会わせることが出来るのに・・・はずなのに。
・・・時間のバグが起こった・・・」
時間のバグ。
層ごとに時間の概念が混沌としていて、層を出ると違う「時(とき)」に迷い込む。
それらを「主」が自由に操作するのだが―・・・
・・・
彩海「主、でもコントロールが出来なかった。
世界の法則が、あなたと愛花さんを会わせないでいるのね・・・」
ツツーッと涙を流す花宇。
「ぞっぞんなぁっ せっがく来たのに!」
・・・
汗がにじむ彩海。
高原に何故風が吹いて汗を乾かしてくれないの、と思う。
「(この・・・想いの深さが・・・愛情の深さを物語ってる・・・
そして愛花さんの、、生みの親だという、、)」
気付くと彩海も涙を流していた。
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えっさえっさ
ごっちゃごっちゃ
「あーこれも。これも。あーこれ要らない」
箱に色んなものを入れる花宇を、後ろから見る彩海。
「あ、あのエンペリシャスの薬だけで・・・と思うわ(汗)」
ここは小さな木の家で、小さなキッチンとダイニングがある。
即席で彩海が買い、そこで作業している。
2年後に来るという愛花に、ハッピーバースデー!の箱をプレゼントということだ。
すぐにでも会いたいが、2年も待っていないといけないため、
愛花に会うのを諦めて、せめてエンペリシャスの薬を、、という訳だ。
くるっ
「え?」
「私の精神力も使うわ(汗)。疲れを取るのに日にちを擁するけど」
花宇「やって下さい!」
手を上げる花宇。
・・・
「想いを詰める」魔法だ。
何かのビンとか箱とかに、想いを詰める。
しかしそれが柔らかければすぐ漏れるし、大きな想いならそれ相応の硬い箱でなければいけない。
この世界でいっちばん硬い鉄箱を!
感情的すぎる声で言う花宇。
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彩海「すごい重さね(汗)」
彩海は一番硬い「鉄箱」をアイテム屋で譲ってもらった。
店長「誰も使わないし、何かおまえさんとこ譲ったほーがいい気がしてな」
何かを感じたようであった。
・・・
・・・
こうして。
彩海の「想いを詰める魔法」で鉄箱に『清子』の想いが詰められることになった。
花宇「これでお別れですけど、、絶対、絶対私・・・」
会いに来ます、と言おうとして止める花宇。
D層秘密管理人と会わないと『糸』との役割が果たせないが、
「ナイトライドさんを秘密管理人にするわ」
と彩海。
ナイトライドさん・・・あの学者?さんか。
あれ?聖職者の服を着ていたような?
何でもあり?
考え込む花宇。
彩海「まずG層、、大事なところよ。そこに行って、糸を通したら
次にD層。
それで終わり」
ビクッ
寒気がする花宇。
G層の名を聞いてずっしり体が重くなる感覚。
様々な設定で、自分ではない自分として本格的に新たな世界に行く予感。
役目の大きさ大変さに青くなっていく花宇である。
チリン....
彩海「これで、・・・諭弦さんを呼び出せるわ」
キラキラと輝くベル。
5回鳴らせば、すぐに飛んでくる。と笑って彩海が言った。
諭弦『何かあれば、いつでも何処でもあなたをお助けに参ります。
わたくしを、いつでも頼って下さい』
あの時の言葉を思い出す。
頭を左右に振り。
うっし、とガッツポーズを取る花宇。