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夏の夢

小さな世界 > 第4章「global」
 



清子が去って1時間後。

夏彦は二階の窓からだら〜と両腕を出していた。

課題でもやるかな、とかもう寝ようかなとか思いながらぼーっとする。

と、窓のふちから女性の手がにょっ、と出てきた。

うっ!
夏彦が後ろにのけぞり、倒れそうになった。

・・・

数秒後。

音も無くスッと窓際に妖艶な女性が現れた。


声も出ない夏彦。

「・・・根性なし」
つぶやく女性。

スタッスタッ
夏彦に近付いて、スッとしゃがんだ。

青くなっている夏彦はくしゃっとなった紙のような顔になった。

「初めまして。ルーリーです♪」

ニコッと女性は笑う。


ガタガタッ
ずーーっと震える夏彦。

頭がおかしくなったのか?夏だから怪談に遭遇した。誰かの悪質ないたずら。
普通は少し上記のものが頭に浮かぶものかもしれないが、夏彦はそれすらも考えられない。


「けっ 警察呼ぶぞ!!」
真っ赤になってやっと 真っ青→真っ赤 に転換されて夏彦が叫んだ。
(喚いた)

そのまま、四つんばいで後ろに歩き、黒いカバン(何にも使ってない。ただあるだけ)を取り、
バッと立って女性に思いっきし投げた。

「泥棒!← け、警察!あ、あんた誰だ!」

女性はスッと立ち、スタスタと夏彦の傍に寄り、「ばぁーか」と言って抱きついた。


女性の胸の感覚にボッとなる夏彦。

うっ
「いっでえぇぇえぇええぇぇっ!!」


母親「?何かしら」
下の階で母親と父親が夏彦の声を聞いて驚いた。

・・・

普通だったら何かあったら夏彦の方から来るに違いない、と
しばし待っていたふたり(両親)。
(夏彦を相当信じている)

父親「何かあったに違いない!」

母親は階段下から声を掛けた。
「何大声出して。何かあったの?」


しかし次の瞬間に母親はまぶたが重くなり、ふにゃ〜っとなって
階段で寝てしまった。

くぅ.....
父親もテーブルに半身を乗せて寝ている。


2階。

目をくるくるさせながら夏彦が倒れていた。

女性は口元の血をぺろっとなめとり、言った。
「血気盛んな男の血って美味しいね♪」


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ルーリーという女性はソフトドリンクを飲んでいた。

ミニテーブルをわざわざ出し、そこでひと息ついた、ということだ。

女性はB層の住人でシュンユーの仲間だと言う。


ルーリー「アナタが大事な妹さんを取られて気の毒だから来てあげたの」

ツッコむ気にもならない夏彦。

「吸血鬼ってやつか。あんた」
やっと声が出るようになった夏彦。

ルーリー「だったら良かった?」ニコッと笑うルーリー。

ルーリー「むま、ってやつよ。夢の魔、む、ま。
ここではそう呼ばれてるみたい」

夢魔。むま。夢の中に出てくる悪魔?悪夢を見させる
そんな記憶が夏彦の頭を駆け巡る。

C層の世界の概念とは違うと説明するルーリー。
悪いことをした人間に夢で罪悪感を植え付ける、
良いことをした人間が夢を見そうになったら消す。


・・・


黒いカバンを投げた時に出来たルーリーのたんこぶを手当てするための救急箱を持ってくる夏彦。

「(夢魔だから親父たち眠ったってのか?)」

シュンユーとのことがあり、『不可思議なこと』を疑わなくなった彼。
しかし「平穏に過ごしたい」とイライラが募った。


ルーリーは図鑑を見ながら言った。
「いやねー。あんまり良い感じで書かれてないのね(夢魔)
えっちぃ〜」

魔法使いにも色々いるんだな、と勉強になる夏彦だ。
他にも役目を持った存在がいるんだろう・・・
と思う。


血を吸う、という『血を吸うのがメイン』の存在はおらず
夢魔の出来る能力のひとつが『血を吸う』。

物質的に一番大切なのが「血」
精神的に一番大切なのが「心」

それらを夢魔は操るのだ。


ただ、暴力的な(ともすると)力を持っているため
崇高な魂を持つ存在しか『夢魔』にはなれない。

ルーリーは言った。「邪魔だった?」

夏彦「じゃま」
ひらがなで答える夏彦。


 

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