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客室にて

小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
 



真っ黒いホール。

ポケットに手を入れて 尹 鴻日(いん ほんいー)が歩いて来た。


ツカッ...

向かい側からシュンユーが歩いて来た。


「御免なさい。お呼びだてして」

鴻日「いえ、いいんですよ。あなたがシュンユーさん?」

ニコッと笑ってシュンユーが言った。
「ええ、そう」


お綺麗な方ですね

鴻日は見とれた。


シュンユー「そんな あなたのような素敵な方に。
からかわないで下さい」
余裕のシュンユーが少しくだける。


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客室。

レースが敷いてあるテーブルの椅子にシュンユーが腰掛ける。

鴻日は窓の外を見ている。

竹流は就寝中である。
(いつも頭をフル回転して考えるため、疲れやすい)

くるり。
「何故、僕に?」
静かに言う鴻日。


ズズッとお茶を飲むシュンユー。

カチャッ.....
「まだ、G層・・・あなたの世界だけど。にいないの。
『秘密』・・・を詳しく知る人間が。
あなたが適任、だと思って」


鴻日「(ジーソウ?)」

カタリ、と立ち上がり、シュンユーが鴻日に近付いて来た。

「・・・」


両手で鴻日の頬に触れ、シュンユーは言った。

「あなたが、気に入ったわ
G層の、秘密管理人はあなたよ」


くるっと背を向けてシュンユーは箪笥から紙とペンをごそごそ取り出そうとした。


「・・・僕である必要はあるのですか?」
何となく訊く鴻日。


ノートとペンを持ちながら鴻日に言うシュンユー。

「あなたが一番、話が早そうだから」

何だろう。一体。と思うが、考えない方がいいのだろうと悟る鴻日。



3日前―・・・。

夢の中にシュンユーという女性が出てきた。
竹流というウグイスも。

起きた時、遠くの椅子に夢の中に出てきた女性が脚を組んでこっちを見ていた。

「・・・きっ、君は誰だっ!!」
さすがに驚く鴻日。

ツカツカと歩いてきて女性は言った。

「こんばんわ」


女性の妖艶な微笑みに『夢の続きか?』と思う鴻日。
(当然だ)

顔を両手で覆い、「・・・?」声にならない言葉を出す。

くるっと回れ右をして女性は向こうに歩いて行く。


女性「この世界の層の『秘密管理者』が必要だわ
あの猫も色々知ってるケド・・・」

「・・・猫?」
何故か気になる鴻日。


鴻日「待て。どういうことだ。き、君は?」

夢の中なのに話している自分を客観的に見ながら話す彼。


シュンユー「3日後に迎えに来るわ。・・・B層ってとこ
覚悟しててね
突然で御免なさい。尹 鴻日(いん ほんいー)さん」



現在―・・・。


鴻日は落ち着いて言った。

「今は疑う気にならない 面白いものですね」

テーブルにノートを広げてシュンユーが言う。
「ホラ、話がやっぱり早いでしょ。
無駄な手間が省けるわね」


暗がりで見えなかったというのもあり、驚いた中で良く分からなかったというのもあり

シュンユーのとても麗しい顔に気付かなかった。


魔法使いは精神を人生でずっとフル回転で使うため、肉体が同時に活性化し
必然的に肉体が美しくなるのだ。

そのため、通常の世界では「老いれば容姿が衰えていく」という概念がここでは違っていて
老いて魔法の知識を得れば得るほど、、精神をたくさん使うほど、略、になっていくのである。

寿命が来れば、その容姿のまま逝去する。

(そのため、母の方が娘より美しく、当然祖母の方がもっともっと麗しい)


・・・


ビカビカビカッ!!

この世界では日常茶飯事な雷が鳴った。


 

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