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二律背反

小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
 

 

しばらく見詰め合っていた俐人と妃羽。

いつもは優柔不断な妃羽が若干落ち着いて、言った。

妃羽「表現を変えて頂ければ・・・」

くっとひと息を入れる妃羽。

戻ります。もしそうして頂けたら。


は?という顔の俐人。
「表現?私の何が悪い!」

下の階の、ガシャガシャッ、という音が聞こえた。


シリアスな雰囲気と、コメディな雰囲気とが妃羽の中で入り乱れる。
思い切って言った。

「お、お分かり頂けると、思います!」


固まる第2秘書ふたり。

・・・

しーんとした空気。
妃羽は鴻日と麗海に迷惑な空気が伝わっていないか心配して、
そちらの方が気になった。

「(もしここで暘谷さんがいたら・・・)」
ナイスリカバリーを想像してしまう妃羽。

後ろの、今まで気付かなかった見事な屏風を見る。
・・・


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鴻日と麗海が席をはずした。

・・・
「(どういうつもりなんだろう)」
ふたりを追い出す形にした俐人に疑問を抱く妃羽。

トクトクトク.....

「杏露酒(杏のお酒)。いいだろ」

お酒をグラスに注ぐ俐人。


キラッと左手の薬指の指輪が光った。
「(・・・私との?べ、別の人との?
な訳ないか)」

恐がっているくせに俐人を取られたら、と一瞬ビクッとなってしまう妃羽。


妃羽は詳しく言った。

1、愛情を感じない。片想いなのに変な感じ
2、もの、として扱われている


妃羽「ゆえに、あれ、は暴力です!」
訴える彼女。

だからこそ、好きだけど戻るのは恐い。



俐人も冷静に言った。

ゴトッとグラスを置き・・・
「おかしな『力』が働いているような気がする」
操られているような感覚、気付くと妙な行動をしている・・・と語る。



「(そういえば何か違和感を感じない)」
不思議に感じる妃羽。


くだけた顔をして、腕を組んでう〜む、、と考える俐人。
良く分からないけれど、何かおかしい!と彼も深く気付いたようだ。


<1時間後>

コクコクッ、と目を点にしながら杏露酒を呑むふたりがいた。


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夫はひとりでいいだろう。
何とも感情の無い冷たい声で言う俐人。

頭が痛くなる妃羽。
俐人の気持ちが分からなくなってきたのだ。

力によってどうのこうの、というオカルトな気持ちと、
もの、のように思われている悲しみ、
片想いの辛さ、

彼の冷笑はそれら全てを莫迦にしている・・・ように見えた。



ハッと気付く妃羽。

妃羽『や、暘谷さんは?あの、、冷遇とか。もう・・・
大丈夫ですよね?』
必死になってしまう彼女。

カタッ
『おまえは!そんなに暘谷が大切か!』
俐人が強くそう言った、が、嫉妬心から来るものではないように見えた。


全てが謎である。




帰り道。

パシャッ

妃羽「(暘谷さんへの・・・何とかなるよね)」

車のクラクション音が鳴る中、雨なので傘をさして帰る彼女。


白樺並木を歩きながら
「(もうすぐこの並木道を通らなくなるのか・・・)」
と思う妃羽。


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妃羽私室。

ベッドで横になる妃羽・・・

ユウはどう声を掛けていいか迷っていた。


俐人様・・・

・・・


トンッ
ユウが肉きゅうで妃羽の顔を触った。


「暘谷さんとこ行かね?」

ユウに振り向く妃羽。


「・・・うん」
そう答えるのが精一杯な妃羽。


 

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