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再会前・・・

小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
 



緊張が強くなっていく妃羽。

妃羽「(また・・・俐人様に会うのか)」
柔らかい空気の中、通されたキレイな部屋で待つ妃羽。

ハッと気付くと、後ろに人の気配がして、
彼女は振り返った。

麗海「大丈夫ですか?」

大丈夫です、と返事をして、愛想笑いをして座り直す。


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暘谷『これオススメ。あいつ音楽「だけ」はいいから』
カチャッと鴻日にCDを渡した暘谷。

鴻日『森林、業火、挑戦、山岳、財宝、河川・・・』

暘谷『後は「空中」と「月」。作成中』

暘谷の話に拠ると、妃羽は歌も上手く、音楽を習わせたらかなり凄い、とのことだった。



現―・・・

カチャッ
CDを再生する。

♪♪〜♪
♪♪
♪♪



泣く、鴻日。


♪〜





―・・・

俐人私室。

俐人「ん?」

執事の正が言う。
「妃羽様がいらっしゃるそうです
というか、通してしまいました」

驚く俐人。
「おまっ・・・勝手に!」

正「暘谷様のことで話があるそうで」

・・・

俐人は言った。
「断っとけ」

シッシッ、と追い払うように左腕を振る俐人。

くるり、と黙って礼儀正しく後ろを向く正。
「(どうしたらいいんだろう)」

失礼します、と言って
ハッとして前に向き直して「失礼します」
という正。


ハッキリした声で俐人が言った。
「正」

正は振り向く。
「どうかなさいましたか」

ウンゴゴゴゴゴゴゴゴッ
ゴーーーーッ

閉め切った部屋なのに、飛行機の大きな音が聞こえる。
神経が尖っているふたりだけに聞こえたのかもしれない。

「会う、と言ってくれ」

覚悟を決めて、準備が整ったかのような、凛とした感じの俐人。


正は全く動じず、「分かりました。伝えます」
と、少し笑顔で言った。
(超レア)

超レアなものを見て驚き、思考が止まる俐人。
いや、そうではなくて・・・
・・・
・・・
彼は正が出た後、頭を抱えて切なそうな顔をした。



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「お手洗い行ってきます」
妃羽が立ち上がった。

紅茶の飲み過ぎで、トイレが近くなっているのである

部屋の観葉植物が妃羽の顔を一瞬なでた。
(ぶつかった)

・・・
バタン、とドアが閉まる

鴻日「・・・」
ポケットに手をつっこみ、鴻日は妃羽が出て行ったところに目をやった。

傍には麗海もいて、せっせと仕事のメモを書いている。

ふたりは付き添いなのである。


ここは魏邸の客人、要人の待合室。

柔らかさと、荘厳さが混ざったような、そんな部屋である。

鴻日「(暘谷さんは欠席なんだよな
当たり前だけれど―・・・)」
問題に対し、少し深く考える彼。

ニャオ
ニャオー
外からの音は聞こえないはずなのに猫の声が聞こえる。
すぐ近くで鳴いているのだろうか。と思う鴻日。

・・・
すぐに窓の外の猫を見つけ、腰を下ろす。
「暘谷さんみたいだね」

麗海が彼に声を掛けた。
「どうかなさったんですか?」
メモたちがバラバラッと落ちる。

とても優しく振り向いた鴻日が
「・・・暘谷さんだったら、そっと猫のように忍び込んで見守るんだろうな」
と言い、猫の方に向き直した。

「ミケネコ、だね。三色の猫。日本に多いという」

・・・?

麗海は疑問に思った。
―やけに暘谷さんに優しいわ。

「(彼にとって、暘谷さんは特別な存在なのかしら)」

「ただいまっ」
丁度、妃羽がお手洗いから帰ってきた。


 

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