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小さな世界 > 第3章「ミルフィーユ」
 



『私の力はまだ弱い。
魔法を完成させるための力は全然ない。

布が重なっているような「層」たち。
糸、を通してまとめておかないといけない。
バラバラにならないように』

鋭い目で夏彦が見る。少女を。

「・・・糸は、『清子』だな」

少女「・・・そう。
彼女には層たちを旅してもらうわ。

夏彦「何故、清子?」


スッと人差し指を上に指し、少女は言う。

「様々な世界の主人公の中で、清子さんが一番安定していて
ブレていないから。
芯がしっかりしていて、糸みたいでしょ」

ぽぉーん...

その場に立とうにも、油断するとよろけてしまいそうな、ぐらぐらした空間。

ぽとぉーん...

片手で顔を押さえ、下にグッと向ける夏彦。


何とも不思議な雰囲気の、あの日の清子のチャイナドレスを思い出す。

少女「特別だから、何となく感じが違うのね
音楽、という程でもないけど。不思議な感じなのね」


うぐ

くらくらしてくる。

「(夢?夢だよな。早く覚めてくれ・・・)」


パッと片手の手の平を夏彦に向ける。

「設定、決めておいて。ね・・・」


ふあっ

チッチッチッチ...

そっと起き上がる。
顔を両手で覆う。



夢・・・見てた?


トントントン...

朝の支度が終わり、何となく書斎に行く夏彦。

鼻歌が聞こえる。
「・・・え?」


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夏彦「お"っえ"っ!?」

清子は本を揃えながら言った。
「何よ〜そんなに驚くこと?」

夏彦「だっておまえ」


カリカリ
紙に色んなものをペンで書いてゆく。
「えーっと、誰にも負けない腕力、うーん違う。
『喧嘩が強い』
後はー、足が速くてすぐ逃げられる

ん〜・・・後は。。」


腕を組んで胡坐をかいて夏彦が口を出す。
「料理が上手い、正義感が強い、弱い者を助ける、強い者には臆せず立ち向かう」

サッと夏彦の方へ向く妹。
「お、お兄ちゃん・・・」

夏彦「喧嘩強いのなんてダメだ!目立つ!
むしろ女で強いなんて目ぇつけられるぞ」


先程の会話。

『でね、A層〜G層へ旅?するために、「こういうキャラ」っていうのを
細かく決めるんだって』
汗をかき、わなわなする夏彦。
清子『驚きようがないでしょ。折角だからーと思って』

世界観をあまり疑わない夏彦と、シュンユーの存在を怖がらない清子。

夏彦『(似た者同士・・・っ)』


現。
1、美しい容姿
2、誰からも恨まれない性格
3、料理が得意
4、人を偏見の目や色眼鏡で見たりしない
5、弱い者を助け、強い者には臆せず立ち向かう


清子「な、中々良いけど・・・目立たない?これ(汗)」

夏彦は言った。
「女は見目が美しいのが得すんだ。
恨まれないに越したことはないし危険にも遭いにくいだろ。
料理が得意なのは少ない材料で飢えずにしのげるように、
4と5は味方を作りやすいように」

パッと清子の顔が明るくなる。
「じゃあそうするー」


夏彦「おまえの意見は無いの・・・」


清子「うーんとね。
名前は決めてるんだ。


I shall send you the most beatiful flowers.
(君に世界中で一番美しい花を贈ろう)
I was born to smother you with flowers.
(君を花で埋めつくすために僕は生まれた)

パンッと手を叩く清子。

「『花宇』。花の宇宙!」

夏彦「・・・何それ」

花の宇宙。お兄ちゃんから贈ってもらった花、っていう設定で。

たった一瞬、様々な色の花びらがふわふわっと渦のように舞う幻影が浮かび上がった。


 

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