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小さな世界 > 第1章「妃羽」
 



上流階級の奥方というのはたいてい享楽と共に過ごす。
中国ではそれが顕著かもしれない。

徒然(することがなくて暇なこと)と共に庭園を散歩したり詩歌をたしなんだり
本を読んだり。
何処ぞの茶会やらパーティやらに出掛けて時間を潰す。

・・・

妃羽は自分の与えられた部屋を自分好みに配置するのが好きで、
ずっとそればかりやっていた。

使用人たちは幸いとても良い人間たちで、妃羽は毎日楽しみながら日を過ごしていた。



俐人はそれを温かく見守っていた。

だが、1ヶ月も経った頃であろうか。
妃羽に苦言を呈するようになった。

遅くまでにがさがさと様々なものをこだわるその図は
いささかやりすぎで、

周りの者が心配する程であったのだ。


俐人「妃羽、子供みたいだ」

妃羽はしぶしぶ、
ノートに配置後の予定図を書いた。



普通は苦笑して見守るところであろう。

子供がたくさんのミニチュアを並べて楽しむ・・・
それを大人がやっている、
という図を微笑ましく思う、ところだ。


有機体、、妃羽は破壊されそうになった。

石像なら、ひびが入っていただろう・・・?



庭園を散歩する妃羽。
日本庭園も、イギリス庭園、ギリシャの海のような海岸も遠くに見える。
・・・


妃羽は反吐が出た。

ほんの少し手を加えただけの自然が美しいのであって、
ぐちゃぐちゃに・・・

・・・
大掛かりなメンテナンスが必要とか。


妃羽「(こんな世界が当然とかっ!)」

反吐が出るわっ!!

思いっ切り声に出してしまった妃羽。


妃羽「(お金持ちの世界に憧れていたこともあった。
・・・飽きるわこんなの
私は、、こういう世界の人間ではない)」


両手で空中を色々回す。

「ここに何々山があって、お城があって、
河がある。

「・・・」

ミニチュアを思い浮かべて切なくなる妃羽。

自然に対してやっていることと、
自分の都合の良いように作っていることは
同じ?


・・・

自分だけが作る、楽しい世界。
自然を壊さない、空想の世界。

多くの人間たちが作る、色んなもの。
自然が犠牲になる世界・・・


私の部屋は私の内面。
それが(良いところだけ)

妃羽「(外に反映されたら・・・)」


気付けば夕方。
夕陽が眩しい。


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妃羽「あ・・・」

各地にあるミニ・休憩所。宿泊も出来る。
(食事は木の実などを取って来なければいけない)


水道メーターとか電気、ガスでバレるから
お風呂は海とか川でしのいで、、

妃羽「(ここで暮らそ)」


何故なのかは分からなかった。

反抗期が来る時期に反抗せずに周りに合わせて自分が定まっていない、、ゆえの反動なのか。

困らせてみたくなったのだ。
特に「夫」になってしまった、かつての憧れの人を。



私は「ミニチュア」の「もの」ではない。
有機体。

クリエイトする側

認めて欲しい。私がミニチュアの『主』で、

自然にとっての、、神だとかそういう「側」であることを。


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俐人「(私にとっては妃羽は妻で、もので。
いつか壊れるものなのだろうか)」

人も、ものも全て「もの」として見て来た自分。

妃羽を壊してしまうかもしれない
もの、として。


暗闇の中の俐人。


 

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