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溶け込み?

小さな世界 > 第1章「妃羽」
 




妃羽「あの、何か裏があるのでしたら、教えて下さい」

魏家に嫁いで1週間。

執事、召し使い、料理長、庭師に至るまで様々な人間たちに「裏」を聞く妃羽。

みなが笑顔で「幸せすぎて現実が分からない、ってやつですね。だーいじょうぶですよ現実ですから」
と言った。

職場の図書館でも、落ち着かない彼女。
「(この職員たちも全員丸め込まれ?てるのかな)」


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休日は友映と礼法と過ごし、ひたすら話を聞いてもらう妃羽。

友映「まーた悩んでンの?」
さっぱりした感じで言う友映。

そこは白いテーブルと椅子がたくさん並び、周りが桃色の花を付けた木々が
取り囲んでいる場所であった。

友映と礼法は持ち歩きの碁ボードで、碁をやっていた。

・・・

『私は君が好きだった。君も私のことが好きなようであるから・・・』


ふたりの碁の勝負を見ながら、俐人の言葉を反芻する妃羽。

妃羽は恐ろしかった。
「(そんな簡単に行くものなの・・・
後で事故とかに遭ったりして。運の使いすぎで)」


わーい
友映「勝ったぁー あー疲れた」
両手を挙げ、満面の笑みで友映が勝利を宣言。

ぐおぉぉ。
礼法は負けてうめいていた。


サラサラ、と花びらが散っている。

ベンチで礼法が両脚をバタバタさせて、友映が両腕を組んでいた。

「あんたさー、自己評価低いんでない?」
友映の言葉にムッとした妃羽。

「そ、それは。でもああいう人がどうって、、私をどうって意味が分からないし・・・」

煮え切らない〜、とボソッとつぶやく友映。


妃羽「・・・私の何が良いと思ったんだろう。思い付かない」

生物学的な、「この個体がいい」と識別する本能。
なのだろう、と思う。
『好き』に理由は無いというが、そういうことなのだろう。
脳が反応するというか。

礼法は立ち上がって花びらを両手で受け止めた。
(スカッ)
「違うよー好きになったから好きになったんだよー」

礼法「脳だって分からないんだよきっと♪」
可愛らしい笑顔で言う彼女。

ニッとする友映。
まっ
「だまされてたら、あたしたちがいつでも慰めてあげるから♪
頑張って」

妃羽が即座に言う。
「で、でも だまされてたら・・・一生慰めて」

沈黙の後、子供たちの遊び声が聞こえた。


別れる時、友映が言った。
「あんたさ、自分が思うより魅力的だよ?
何処が、って言っても難しいケド」

礼法「えっとねー男だったら惚れちゃうと思うよ。
可愛いっていうか♪」

ムッ

どういう意味だっ!
という言葉を飲み込む妃羽。


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俐人「何だ?」
険しい顔。

魏家の一室である。

妃羽は言う。
「未だに信じられません。
深く想ってくれそう、とかそういうのですか」

1、逆らわない庶民の方が、妻として都合が良いから。
2、気位が高い身分のある女性だと、女遊びが出来ないから

上記ふたつは飲み込んだ。


彼は余裕があり、かつ壁を作るような口調で言った。
「全部だよ。何言ってんだ」

妃羽「(全部=理由がない、よね。まぁ・・・)
私は、、具体的に色々言えます。
ぺらぺら」

足をくっつけ、下を向いてしまう妃羽。


俐人は慌てた。
どういうところに惹かれたんだろう。
あれ?、と

彼は壁に掛かっている絵画を見ながら、彼女と会ったパーティのことを思い返した。

ズーッ...とグリーン・ティー(緑茶)を飲む妃羽。
少し緊張が解けたようだ。

「まるでないな」
俐人は言った。

妃羽は諦めた。
理由ないものらしいし、都合良さそうだからって言われるよりいいし・・・。と


しかし次の瞬間、「そんなことで悩んでるんだね」という優しげな表情をする俐人。

妃羽「(たまたま運良く、シンデレラみたくなった?)」
確かに派手な人生は送ってない。
その分良いことが?


召し使いが「お休みのお支度が、出来ました」と伝えに来た。


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妃羽「こんな状態のまま、こういうのは」
と言う妃羽に、

「ん?」と面食らう俐人。

じゃあ君が安心するまでいいよ、と彼。

ホッ、とひと安心して、
とりあえず「これはだまされたものじゃない」と認めることが出来た妃羽。


 

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