現代ファンタジーのオンライン小説 - ものもの

誓い

小さな世界 > 第1章「妃羽」
 

 


厭?
意味不明に俐人が優しく言う。


妃羽「本当のことを教えて下さい!
一体裏で何が有るのですか」
ぺらぺらと必死に訴える妃羽。

何も答えない俐人。

「取材とか何かの面白企画(ドッキリ)なら、言ってください。
上手くやります!
あ、企画にならないか・・・」

ずっとひとりでしゃべりっぱなしだ。

・・・

・・・

何度も深呼吸して、妃羽は言った。


確かに私は両親が他界してます。
親戚も縁遠いし。

・・・でも、段取りってものがあるのに。



初めは車中だったのだが、
周りを、新聞社の人間や様々な人間たちが取り囲んでいた。
妃羽は彼らが、人間の振りをした柔らかい人形のように見えた。

しばらくして、目的地である煌びやかなホテルに入る。

妃羽はもう諦め、
テレビ局の人間たちが出てきて、『はいだまされたー』って出てくる時に
どういうリアクションを取ろうか?と
あれこれ模索していた。


しかしあまりに場違いな場に面食らい、とうとう訴えた。
妃羽「世界、が違います。何故私なんですか?
気まぐれ?あなたは奥様がいらして、私がえーとそ、側室?で?
私そういう汚い関係は、、」

ガヤガヤとあちこちの部屋から声が聞こえる。
周りの人間たちは「いかにも」というような豪華な人間たちばかりだった。

食べ物やワインの香りがほのかに漂ってくる。

・・・
俐人「君だけだよ」
彼は普通に言った。

結婚もしておらず、妃羽だけとのことだった。


ワインを呑んで少し緊張を解きほぐそうとした妃羽。
「(・・・本当に後でたくさんお金もらわないと割に合わない。
何なのこの面白企画)」

上流階級の人間て・・・サイテー
と心から思う妃羽。

「(日本でも、政治家がお気に入りの芸妓さんを
何らかの方法で精神的に傷付けて遊ぶ遊びがあるみたいだし)」

(いつの話だ)


-------------------------------------------------


西洋のドレス、中国の花嫁衣裳、日本の白無垢。
それぞれに飾り立てられ、盛大な式を開かれた。

司会「侯 妃羽さんは一般の方のため、内輪で開かれることになりました。
さぁ皆さんご挨拶を」

がやがや

がやがやがや


人々は無名の妃羽を密かにあざ笑ったが、妃羽はそれどころではない。
常に人の居ない所に逃げ込んで姿を隠した。


「(友映と礼法を呼ばなくて正解だった。
こんなところにいたらふたりだって)」


ふと、ニヤニヤ笑っている子供がいた。

何見てんだよ、と言わんばかりの顔だ。

何故かその子の傍に行きたくなった。
すたすた

何故そういうことをしたのか。
その子の顔をまじまじと近くで見た。

「あ?」
その子は言った。

「この世界は、・・・」
「はぁああ?」
「作りもの、なんでしょ?」

子供の両肩を抱き、大きく揺さ振った。


「ちょっと!あなたうちの子に何してるの!」

黒服に見事な真珠を体中にまとった上品そうな女性がこちらに走り寄ってきた。


-------------------------------------------------


俐人「何やってんの・・・」
呆れる俐人。

妃羽「だって!変なんですもの。この世界」


小さな控え室だ。

くるりと妃羽の方へ向かう俐人。

妃羽の左手を取り
「契約」
と言った。


『コトトンッ』

あの日の
指輪の音。

妃羽「(あれが『ギミック』で
これが本物、と。
凝ってるなぁ・・・

何でここまでして)」

妃羽は親戚全て・・・ほぼ全てが早世しているのを返って幸運に感じた。
ひとりで噛み締めていたいと思った。



しとしとしと・・・

雨が降り出した。


-------------------------------------------------


寝付けずにお茶でも飲むかと、ベッドから出る俐人。


 

BACK「カードの」  NEXT「溶け込み?」