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小さな世界 > 第1章「妃羽」
 



妃羽は何が何だか分からなかった。

自分の思う通りの現実が広がっているが、、
実際は病院のベッドで皆に見守られながらうーんうーんとうなされているのだろうか、と思った。


俐人様。
私の憧れの人だった。

でも、(おそらくここは妄想の世界なんだろうけど)そんな簡単にホイホイ人を好きになるものなのかな。

な訳ないよね。
色んな人にやってるんだ。

ある意味、運が良かったのかも。
良い思い出として取って置けばいいのかも。

「(こういう、正式な恋人でもないのにこうするって関係、好きじゃないんだけど。
まぁいいや・・・)」

妃羽は益々忘れられなくなってしまう、と泣いて、そして少し経ってからやっと落ち着いた。



合鍵をもらったが、これは本物なのか?
と固まる妃羽。

・・・
お手軽な、ミニ・愛人(2日ぐらい)
にされる、とか。


・・・
それじゃあ捨てられた時、どうしていいか分からない。
何でこんなことになっちゃったんだろう・・・


彼女は司書だ。
次の日は仕事に行かないといけないため、すぐに気持ちを切り替えないといけない。

ちゃりん


「(いい夢を見たと、そう思おう)」
妃羽は眠りについた。


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久し振りの仕事の日の夜。

うとうとと寝ながら夢の中に入ってゆく妃羽。



寝ぼけまなこで宙を見ると
ぼや〜っとした人影が映った。


人影がやっと離れ、ぐったりする妃羽。


むくっと妃羽は起きて言った。

「何か裏があるんですよね。
・・・そもそも人のアパートの合鍵を。いやまぁ。

えっと、
パーティの召し使いの仕事をするときに何らかの秘密の健康診断があって(ぜぇぜぇ)
それで私が『超優秀』って出て。

で!
どうやらこいつは俺に気があるらしい。
どうにか・・・」


はぁっ
はぁっ
肩で息をする妃羽。

「手込めにしていずれ臓器を何処かに売ってやれって!
そういうことでしょ!
最低!変態!莫迦!ドジ!」

枕をバッと抱え、ブルブル震えながらも応戦体制をする妃羽。

し〜ん

はあっ はあっ


暗闇で、その人物は口を開いた。

「・・・意味が分からない。何故こんなことを」


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―10分後・・・

「俐人様」
妃羽は、うなだれて座っている俐人の名を呼んだ。

合鍵を持っている意味も分からなければ、ここにわざわざ来る―
調べて来る理由も分からない。

一体何故来たんだろう。

それをしきりに疑問に思い、悩む俐人。
本気で悩んでいる。

・・・

何かされた訳ではないが、ぐいーっと体の上に乗っかられ、うつらうつらとされたのである。
すぐに俐人だと分かったため、固まってしまい、「そうか夢なんだ」といい気分になってしまい

目をつぶって神経を集中させ、「これは・・・現実!」と結論付けて
やっと我に返ることが出来た妃羽。
(先程まで)


妃羽「あのっ、どうしてですか?
住宅侵入罪ですよね?(汗)」

ガラガラッ

ガシャシャッ
グワーッ

音に、くるっと後ろを振り返る妃羽。
近所の人の痴話喧嘩?のようである。

ハッと暗闇でだいぶ目が慣れた。
妃羽は夢なのかな?と思いながらじっとしていた。

鼻をすすった後に思い切って言う彼女。
「あの、私が健康だから。そ、そして
あなたに気があるから。だから何とでもなりやすい。

・・・そう判断して、」

俐人「違う!」
俐人が声を荒げた。

・・・
「あの・・・
あの、臓器を。
私の臓器を売るとか
健康だから!
やめてください。
こういうの、ひどいですよ」


切なそうな顔をする男性。
「そうじゃない。良く分からない」


朝、、夜明け前に俐人は帰って行った。


妃羽はしばし俐人と無言の空間を共有していたことを思い出していた。
電化製品の音が響くはずなのに、遠慮しようとでも言わんばかりに
とても静かだった。

冷静に、メモに書き出してゆく妃羽。
1、夢遊病
2、からかいたい女性の住んでいる家の合鍵を作り、忍び込んでいたずらする遊びをしている
3、裏の世界絡みで、私がいい品物だと判断して少しずつ懐柔していこうとしている


しかし「1」の可能性が高いと感じる彼女。

何か心に秘めている悩み事でもあるのだろうか。
ああいう立場の人間は弱みを見せることが出来にくいだろうし。
それでストレスが・・・

「(でもだからって何で私なの?)」
訳が分からなくなる妃羽。


普通なら鍵を代えるところだし、警察に言うところだが
また俐人が来たら・・・
などと少し冷静ではない頭で考えていた。


ザーッ
雨の音が寒々しい。
そのままベッドに入り、先程のぬくもりを思い出してドキドキする妃羽。

コトトトンッ
何かの音がした。


 

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