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うみ

小さな世界 > 第1章「妃羽」
 



花宇(ふぁうー)。可愛い顔をして、非常に美しい(というか『可愛い』)女性である。

日本人で、日本語の発音は「かう」と言う。
母親が牛が大好きで、それで「かう(COW)」という訳である。

変わり者の母親は中国を好み、花宇が生まれてからすぐに中国に渡って
中国で花宇を育てた。

(そのため、花宇は日本人なのに日本語が話せない)


何処へ行っても注目を受けるほど可愛いので、余り目立たない仕事をと言うことで
色んな職を転々として、、現在に至る。

(規則の厳しい大きな屋敷の使用人たちはいちいち同僚にどうこうしたりトラブルも少ないため)
(そのくらい可愛い)

花宇は非常に妃羽と仲が良かった。
双子なんじゃないかというくらいいつも一緒にいる、、とまでは行かないが
そのくらい仲良しだ。



お早う御座いまーす!
元気良く手を上げて花宇が妃羽に朝の挨拶をした。


ハッ

昨日のことがあり、パッと切り替わってる目の前の光景にビクッと小さく驚く妃羽。


花宇「猫原海に行きませんか?(プライベートビーチのひとつ)」
散歩の提案をする彼女。


「お待たせしましたー!」

しばらくして、大きなバスケットと飲み物を持ってくる花宇。

うはー
妃羽「花宇さんて料理上手だから嬉しいーっ
楽しみぃ!」


(略)


妃羽「(何だかなー。顔が美しい人って心まで美しいのね。
いや、心が出るのかな?)」


素直で明るく、笑顔を絶やさない。
弱い者を守り、強い者には臆せず立ち向かう。

何より人を差別したり偏見の目でみたり色眼鏡で見ない
そういう人間だ。
(何か、良い意味でも悪い意味でも母親の影響な気が・・・)


ここまで花宇のことを書いたのには意味があった。
こんな誰でも好感を持つような人間に対してさえ・・・
俐人は「無関心」だったのだ。

「使用人、花宇。国籍は日本」彼の頭の中の花宇の情報はこれだけだろう。


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司書の仕事を辞めることになって数週間。
手を動かして「jobをdoingする行為」が無くなり、趣味を探したり広すぎる敷地を歩いたり・・・
そういうことをして徒然を潰している。と語る妃羽。

花宇「お茶会などはどうですか?ドレスとかもー」

・・・
妃羽「身分が違うわ
そういう場は苦手。作法も分からないし
(習えばいいんだけど)」



くん

妃羽「潮の香り」


花宇「お」


さっさと先に走る彼女。



きゃーっ
きゃっ きゃっ

どぼーんっ!

「ちょっとっ ごほっ 砂掛けるの禁止!」

待ちなさいって

ばっちゃ〜ん


(略)


波打ち際でごろ〜んと横たわる妃羽。

花宇「バス、、じゃなくてシャワールームがありますので・・・そこに」
先にシャワールームに行く花宇。


むくり

少し経ってから妃羽は思った。
俐人様は何故花宇さんを好きにならないんだろう。

俐人様は誰にも興味がないのかな


理屈ではないのだ。
容姿端麗で性格が良くて相性も抜群なのに
全然惹かれない場合もある。

なのに
容姿も性格も最悪で会話していても辛いだけなのに
夢中になってしまう場合もある。


恋は、理屈ではないのだ。


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夕暮れ時のビーチ。

ずーっと浜辺にいるふたり。

カーッ カーッ
横では花宇がいびきを掻いて寝ている。


「(俐人様とまた会うのが怖い)」


暗闇のイメージが取れない妃羽。


でも何かおかしい・・・?

違和感がずっと拭えない彼女。


私はいつも無機物扱いされていると思っていた。

本当はちゃんと有機体のように扱われていたのかな


「(嗚呼、お屋敷に帰りたくない・・・)」


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暘谷「本当は後ろ向いてポケットに手、入れちゃいけないんですけどね」

疲れた感じの暘谷が言う。


暘谷「好みとかそういう小さなものではないです」

暘谷の背を見ながら妃羽が「え」と言う。

「上手く言えないけど・・・
人、を『ひと』として見ることが出来るようになったとでも、言うか」


暘谷「(まぁ性欲と間違いやすいわな)」


しかし
明日はさっさとボストンに行かねば。
ぐずぐずしている暇はない!

新しい事業のために早朝から俐人と共にボストンに行かねばならないのだ。
サッと切り替える暘谷。


 

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