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第2章:国造り

第4話:届かない

新解釈の古事記


はるさんがやって来て、驚きの声を上げた。

帰ってきて、というなつさんに
「もう蛆が湧いてるし、腐臭がするから無理」
というはるさん。

もう少しで骨になっていって、戻れなくなる。
と彼女は言った。

魂だけでも持って帰れないか?
ひと型のものに、入れられないか?というなつさん。

魂だけ持って帰るのは、この世の法則に反している。
秩序が壊れちゃう、とはるさん。

ポンッ

ポンッ

小窓の中から、はるさんの穢れの埃の塊(以下、穢れ玉)が飛んだ。

ちなみに、小窓は、覗き込んでも何も見えない。
見えないように何か力が掛けられているのだろう。

目やら鼻やらに穢れ玉が入り、かがむなつさん。


「・・・君がいないと、国造りが。
いや何もなくなっちゃうんだ」

そうしている間に、穢れ玉がぽんぽん、勢いよく飛んでくる。

なつさんはそれに構わず、ずっとうなだれていた。


・・・
しばらく言い合い、
「見苦しいわよ!どうしようもないの。
私はもう死んだの」

とはるさんは言った。

穢れ玉は勢い良く飛びまくる。

・・・
なつさんは分かったよ、と言って、くるりと背を向けた。

「最後に聞きたい!
まだ私のこと愛してる?」
なつさんは問うた。

「そんなの当たり前でしょ!」
ぶわわわわっ!と大量の穢れ玉が小窓から吐き出された。


「その言葉だけで充分」

そうして、なつさんは現世への道へと引き返して行った。






バコンッ!
「塞いでやったぜ」

千引き石という、大きな石で、あの世とこの世を隔てる場所を塞いでしまったなつさん。


そして、汚れた体で、その頃にはすでに居た「人間」という存在に
ないことないこと言いふらしていた。

『そんな姿で追って来たら、普通、逃げますよね(笑)』
『人間を一日千人殺すなんて~。女って変わっちゃうんですね(悲)』
『愛より恥を取るなんて。はるさんは自己愛の塊ですね』

散々言いふらした後、
「私は悪くない。何故なら、はるは私の一連の行動を見通してるから。
そしてこう、思ってるのも含めて」
となつさん。



はるさんは一方 ―・・・

「・・・って思ってそうね(ビンゴ!!)
私たちは双子みたいなものだから、考えてることが分かっちゃうのね」

ひとつだけ、なつさんが予想出来なかった部分があった。

蛆だらけは確かにそうなのだが、
かなり骨が露出していて、両腕は取れてた。

「(こんなの見せたら驚かれるどころか、仰向けで気絶されるわよ)」

「(黄泉大神に、はるさん是非二代目になって下さい、と言われたから行かなくちゃ)」

はるさんは、奥へと歩いて行った。


第2章:国造り「第4話:届かない」

第2章:完


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